和子の生い立ち-22〜コンクリ割り出現〜

近江織物は800人からの従業員の居る大きな会社だから2台の
サイジングが有りますが、線路の向こうに有る木下工場はサイジングが無く
時々、木下工場のお仕事を手伝う事も・・・


有る時「次は木下工場の糊付けをするから〜」と言われ、西工場表玄関に
木下工場のビームが数本積み上げられて居ました。
このビームはシングルで38〜40キロ・ダブルで68〜70キロ程の重い
糸巻きです。木下工場にはダブルの織機は無くシングルだけですが、
台車に乗せて工場場へ・・・
男性と組んでの仕事だから「俺が運ぶから良いよ〜」って
言って呉れますが、頑張り屋の和子は、その重いビームを台社に乗せて
工場へ運んで居ました。すると表にU字講の修理だか、何だか判らないけど
仕事に来ていた、業者の男性が「凄い力持ちだね〜手伝って遣ろうか?」って
声を掛けて呉れました。丁度彼は休憩だったのでしょうね?
「大丈夫、1人で出来るから〜」って・・・冗談を言いながら台社にビームを乗せて職場へ・・・


其れから暫くして会社の中で逢うと「お早う〜・今日は・お疲れ様」って
何気ないご挨拶をする様に成りました。
食堂で食事をして居ると和子は食堂の奥の方で寮の仲間と食事をし、
彼は入り口で・・・顔を合わせると会釈をする程度・・・
その内、「僕と付き合って下さい」と・・・和子にはそんな気持ちは
全然無く・・・その場は「考えて置くね?」って・・・冗談めいて
その内、段々と逢う度に交際を迫られましたが、和子は断り続けました。
すると・・・彼の休憩の時に工場の中に入って来て、和子のサイジングは
1番奥、入口にはワイダーや荒巻の機械が有り、荒巻では三浦成ちゃんや
井上さん等が働いて居ます。すると成ちゃんや井上さんに「あの人に
付き合って欲しいと頼んで欲しい」と言いだし・・・
和子は「嫌だ、絶対に嫌だ〜」と言って拒みました。
未だ々和子は「男性と交際をする」と言うほどの大人には成れず
初心な子供でした。所が彼はお隣で働く、成ちゃんや井上さんに
言うだけではなく、至る所に行っては「付き合って欲しいから
頼んで欲しい」と言い、思い掛けない人からも・・・
和子は彼の事を「コンクリ割り」と称し荒巻やワインダー仲間から
「付き合って遣りなよ〜」ってかわかわれると「あんなコンクリ割り
絶対嫌だ〜」と・・・言い続け拒みました。