和子の生い立ち-23〜初めてのラブレター〜

散々「コンクリ割り」から交際を責められ和子は彼の姿を見ると
眼を背けたり・・・遠廻りをしながらでも逃げて居ました。
その時も彼は荒巻に来ては成ちゃんや井上さんに頼み、
「もう嫌だって言ってるから諦めたら〜?」って言われて居たそうです。
それでも彼は諦めずに・・・西工場の門の傍に公務室が有り此処には
男女4〜5人社員の人が事務を取って居ました。
その女性社員の方にお手紙を届けて・・・「これを預かったよ〜」って
職場まで届けて呉れました。
此れはまぎれも無くコンクリ割りからのお手紙でした。
文面は忘れましたが、「諦めきれずにお手紙を・・・OO日の夜8.00に
学校の校庭で待ってるので来て欲しい・・・とか?国領佐一郎・・・と
其れはそれは、達筆で・・・(あのコンクリ割りにこんな立派な字が書けるのか?)
って感心するほどでした。
でも〜和子の気持ちは変わらず、拒み続けてデートの誘いは無視して
行きませんでした。
それでも彼は諦めきれず、何度もお手紙を公務室の方に届けて・・・流石に
和子も公務室の方に申し訳無く学校の校庭に・・・
普段は作業服を着て、だらしない格好をしているコンクリ割りも
その晩は流石〜ポマードを付けてに頭を7x3に分けて、スーツ姿で立派な
「国領佐一郎」さんでしたが、和子のタイプでは無くやっぱり
オジン臭くって・・・どうしても受け入れる気持ちには成れませんでした。
「お願いだから・・・諦めて下さい」とお願いしましたが
「一度で良いから京都にでも何処でも良いから1日付き合って欲しい。
一度行けば諦める」とねだられて大津へ・・・石山寺比叡山に・・・
和子は、楽しい小旅行では無く2度と「交際を迫らないで欲しい」只
其れだけで・・・手を握る事無く、バスの中では終始居眠りを・・・
こんなデートは有りませんよね?