和子の生い立ち-17〜準備工場へ移籍〜

有る日、第二工場の係長に呼び出され準備工場へ移籍を命じられ
横巻きに配属されました。この準備工場の係長は小林さん、組長は
山脇さん・横巻の見回りさんは小川和子さんって言ったかな?
横巻の見回りさんは何となく冷たい感じのお姉さんでした。

小川さんから「じゃ〜此処でこれ遣って?」って指名されたのは
織り場から戻って来た糸巻きの残った糸を全部取る仕事でした。
卓球台を半分にした位の大きな台に、15センチ位の枠が有って
その中にコマを入れて混ぜ合わせ絡んだ糸を纏めて取る。
仲間と2人で雑談しながら・・・織り場の騒音の中で運動会の如く
走り廻った事が嘘の様に楽な仕事でしたが、でも和子はどうして
織り場から移籍させられたのか、判らず納得がいかず正直
ショックでした。織物工場に就職し、織り場で働く事を誇りに思って居たから

横巻に配属されると毎日コマの糸取りばかりの仕事では有りません。
このコマに新たに巻かれた糸のしけ切りと言って巻き始めの糸の端が
出て居ると生地を織る時に邪魔に成って生地に傷が出るからこの糸を切る
小川さんから「今度はしけ切りを遣って?」って言われ今度はしけ切り・・・
このしけ切りはハサミで切ってるほど余裕は有りません。
指サックをして手で切る。一日中しけ切りをして居ると指が痛く結んだ指が
パッとは開かない位の苦痛でした。
織り場と違い、騒音は無いけど、人間関係の難しいのを改めて教えられたり
又優しく声を掛けて呉れるお姉さんも・・・

毎日、朝暗い内から起きて、又夜は遅くまで頑張って難しい人間関係を
教えられながら1ヶ月働いて頂いた給料は基本給\6,000、諸々引かれて手取り
\4,000円でしたが、兄ちゃんに俵編みのアルバイトをさせて貰い
頂いた\1,000の方がず〜〜〜と嬉しかったです。