思い出ばなし・広海さんー1

 

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やっぱりリンキングのお仕事は中々上達しなし、近藤さんも和子と同じく

子育てをしながらで、彼女は独身の頃は靴下工場に勤めて居ただけに

手際もよく仕事を始めたら1デカ(10足)や3デカ和子と話しながらでも

簡単と出来ちゃうけど~未だ子供も小さいし・・・中々思う様に出来ないのが

現実だった様です。

和子も「この内職は絶対に遣りたい」と思いましたが、何せ紳士靴下の眼数

210位有るのをリンキングに掛けるのは本当に大変なお仕事です。

何度も(やっぱり辞めちゃおうか?)とも思いましたが、やっぱりスイスイと

リンキングに掛けて良く近藤さんの姿を思い浮かべると、

(やっぱり頑張ろう・・・)と

そんな時、靴下工場の社長さんが見えて、「採算が合わないから・・・」と

言う理由で近藤さんも和子も解雇されて正直がっかりでした。

 

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その当時、和子は団地の婦人部の役員をして居て月一で集会場で会議が

有ります。そんな或る日の会議の帰りに婦人部の部長さんから声を掛けられて

部長さん   「リンキングの内職をして居たんだって?

和子     「エッ?どうして知ってるの?

部長さん   「風の便りで聞いたんだけど~もう一度やる気ない?

和子     「エッ?未だ々出来ると言う程出来ないけど~紹介して

        貰えるの?

部長さんはやっぱり独身の頃に、丸山と言う地名の所の靴下工場で働き、

「今、和子の前の棟に仕事を届けて居るんだけど、暇つぶし程度で良いから

遣って貰えないだろうか?」と言うお話しでした。

「未だ々子育てだし~習い始めて一日に1デカ~2デカ程しか出来ないけど

其れでも良いの?」と言うと・・・広海さんに聞いて見るね?・・・と・・・

 

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 翌日、丸山の靴下工場の社長夫人広海さんが車にリンキングの動力ミシンを

乗せて和子の家へ・・・

取っても活発なオバチャンで気さくな感じのオバチャンで・・・

広海さん   「お向かいの棟の1階で家の仕事をして貰ってるから気楽に

        遣って呉れれば良いから・・・

広海さんのご主人が社長さんですが、身体が弱く、広美さんが社長の代役を

勤め、寝る暇も惜しんで頑張るオバチャンでした。

遣り始めて未だ々・・・未熟で一日に300円・500円程しか出来ないのに

3畳のお部屋はリンキングと靴下の山で、小さな和子工場が・・・(笑)

夫が「火事でも起こしたらこの靴下代も弁償する羽目に成るから・・・」って

言う程でした。(笑)

    【この動悸 昔は恋で 今病(シルバー川柳)】