和子のこぼれ話-39〜和子の結婚生活―6


大家さんから、雨が降ると「暴れないで下さい」とか「水を流さないで下さい」
と言うクレームが段々と間隔を狭めて頻繁に来るように成りました。
有る時、北側のお部屋に住む井上さんから「市営住宅の応募用紙を貰って
来たけど家では収入オーバーで応募出来ないから上げる」って???
日々大家さんから文句を言われ、辛い毎日を送って居る和子には当に
「地獄に仏」と言った 気持ちでした。早速重要事項を書いて投函し
返事が来たのはどれ位経って居ただろう?有る日ポストの中に市から
「仮当選」の通知が来て夫と大喜び・・・


市営住宅は民間のアパートと違い、「仮当選」をしてから「書類申請」
「実態調査」と色々手続きが有って入居する迄に半年位後
その間に色々お手紙が来るのですが、中々来ないと(大家さんが取り上げたのでは?)
と言う不安?頻繁に文句を言われ良からぬ想像までしちゃって・・・


「坊主憎けりゃケサまで憎い」と言う諺を耳にしますが、頻繁に文句を言う
お婆ちゃんの制で大家さんの家族全員を、和子は色眼鏡で見る様に成りました。
若奥さんが幾ら優しい言葉を掛けて呉れても・・・正英君(長男より1歳年上)
が幾ら「まこくん」と歩み寄って来ても、顔には出しませんが、心の中は
穏やかでは有りませんでした。せめて一度位、若奥様から「お母さんが何時も
煩く言ってご免ね?」と労いの言葉を掛けて呉れても良さそうに・・・