「保育園からの呼び出し」から壊れた夫婦・・・

【特別篇】

《和子は又々こんな記事を見た~》

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40歳2児の母が実家に入りびたりになるまで

精神的に追い詰められた2児の父

平日の昼3時に「もう限界なんです。山村さんなら何とかして

くれるのではないかと思って電話しました」と切羽詰まった声で

語り始めました。 声のトーンから、相当追い詰められているのでは

ないかと察し、岳斗さんの自宅近くのファミレスで会うことに。

先に来ていた岳斗さんは、顔色は青白く、かなり疲れた印象でした。

毛玉だらけのスウエットの上下で、無精髭を生やしています。

身なりに意識が向かなくなるほど、精神的に追い詰められていることが

わかりました。  「妻が2ヵ月前からほとんど帰ってこなくなりました。

妻の実家は関東近郊のインバウンドに湧くエリアで、介護施設

飲食施設の運営などさまざまな事業を展開しています。義父と義兄たちが

経営をしており、会社も回っていると聞いています。妻が手伝う必要もないと

思うのですが、“英語ができる私が行かなくちゃ”の一点張りなんです」  

妻がいないから、岳斗さんは娘たちの世話をしなくてはならない。

働きながら、2人の子供の世話をするのはかなりの負担です。  

「妻は精神的に不安定なところがあります。下の娘が生まれてから、

それが顕著になっている。妻のケアと娘たちのためにも、僕は2年前に

会社を辞めて、フリーランスになりました。通勤していた頃は、同僚と

ムダ話ができたのですが、今は誰も話す人がいない。男が娘や家族の愚痴を

言うわけにはいきません。保育園で顔見知りになった人はいますが、

友人ではないし頼れる人がいないんです」

留学先で出会った5歳年上の妻

目に涙を溜めて語る岳斗さんからは、妻と娘たちを思う愛情が溢れている

ことを感じます。 「はい。家族はとても大切です。結婚して

子供が生まれたときに、自分にも家族ができたんだという安心感がありました。

5歳年上の妻と結婚したのも、しっかりした人だったからです」  

かつて交際した人は、「私のこと、好き?」と聞いてきて、彼女が望み通りの

回答をしないと、ヒステリックに責め立てる人が多かったといいます。

「僕は共感性が薄いというか、人に寄り添うことができないんだそうです。

妻とは学生時代に留学先のアメリカで出会いました。僕はよく場違いな

発言をしてしまうのですが、そんなときも“岳斗の個性だよね”と

認めてくれたんです」  留学中、交際はしていませんでしたが、

帰国後は付かず離れずの関係を続けていました。岳斗さんが27歳、

妻が32歳の時に再会し、交際半年で結婚。下の娘が生まれるまで、

順風満帆だったそうです。「下の娘は落ち着きがないタイプで、

2歳クラスに入った頃から、保育園からしょっちゅう呼び出しが来るように。

その頃から、妻のメンタルが崩れ始めて、“なんで普通にできないんだよ! ”

とか、“お前のせいで呼び出されたじゃないか”と娘に怒鳴り散らしている。

これはいけないと会社を辞めて子育てに積極的に関わるようになりました」

保育園からの呼び出しが繰り返され…

話を聞いていると、この保育園にも問題があるのではないかとも感じました。

ほかの子と同じように行動をしないマイペースの子に発達障害のレッテルを

張って、親を追いつめる例を調査したこともあるからです。

子どものタイプはそれぞれで、大きくなると自然に落ち着いてくる子も

多いのに、2歳児で「普通にすること」を要求して親を呼び出すのは

首をかしげます。親も子も追いつめることになってしまいます。  

まだ幸いなのは、岳斗さんが「自分の子はおかしい、困った子だ」とは

考えていないこと。岳斗さんもかつては落ち着きがない子供で、親に

同じようなことを言われて、心に傷を負っていたそうです。

「下の娘と自分が重なるので、会社を辞めることにためらいは

ありませんでした。それには収入面で不安がなかったこともあります。

特定分野のSEとして実績を積んでおり、他人からも独立した方が稼げると

言われていました。以前勤務していた会社から仕事の発注もいただき、

会社員時代の倍近くは稼いでいます。ありがたいことです」  一方、

妻は職場のトラブルを起こしがちで、仕事を転々としてきました。

「かつてパートはしていたのですが、2年ほど前から実家の家業がさらに

忙しくなり、英語もできる妻に手伝ってほしいと連絡が来て。以降パートは

休んで実家の仕事ばかりしています。それと同時に外泊も増え、一時期は

週に3日程度しか家にいないこともありました。さらに、この2ヵ月間は

ほとんど帰ってこなくなり、上の娘も不安定に。学校に行くのを

渋るようになりました。下の娘もさらに落ち着きがなくなり、

“ママがいないのはパパのせいだ”と僕に対して怒鳴ってくる」

妻に「子供にもっと関わってほしい」と伝えると、「ガキを産んで、

オマエが会社を辞めるまでの5年間、育児中心の強制労働をさせられていた。

何もしなかったクソが偉そうなことを言うな」と怒られたそうです。  

「確かに会社勤めのときは帰りも遅く、妻に子育てをほとんど任せていました。

でもせめて、娘のために家にいる時間を増やしてほしいと言うと、

“両親と兄たち、従業員のみんなも徹夜して仕事しているのに、

私に無視しろって言うのか”と目を釣り上げる。妻の実家があるエリアは、

外国人観光客が急増していることが報道されるエリアです。そこで、

飲食や介護などの人手がいる事業をしているので、運営が大変なことはわかる。

でも、我が子を捨ててまで、手伝うことはないでしょう」

「我が子を捨ててまで」手伝う?

私は「我が子を捨ててまで」という発言に不穏な気配を察知。これまでの

調査依頼の中には、依頼者の疑心暗鬼で、浮気の事実がないことも多少は

ありました。依頼者が「取り越し苦労でした」と苦笑しながら報告書を

見ることもあるのです。  しかし、これまで母親である人が、周囲から

「子供を捨てている」と表現された場合、100%に近い確率で浮気を

しているのです。岳斗さんに「浮気の可能性を考えたことはありますか?」と

質問すると「疑わしいことはあります」と絞り出すように言いました。  

「かつては僕のことを毎晩のように求めてきたのですが、この2ヵ月間は

全くありません。これほど間が開くことは、8年間の結婚生活でほぼ

ありませんでした」  妻は性欲が強く、それを素直に夫に伝えて夫も

応えるよい関係だったようです。しかしそれがぱたりと止まってしまった。

私の経験上、このようなタイプの人は、浮気をすると相手にお金を貢ぐ

傾向がある。岳斗さんにお金のことを聞くと、「実は、昨日、久しぶりに

家に帰ってきたのですが、20万円貸してほしいと言われました」と言います。

実家を手伝っているなら、相応の報酬を得ているはずです。それなのに、

なぜ、夫に金を借りなくてはならないのでしょうか。  

「話していて思いましたが、妻の行動は辻褄が合わないことが多い。

妻の実家の住所はここです。調べてもらってもいいでしょうか」

私たちは、すぐに調査に入ることにしました。  

 

◇今回の問題は円安によるオーバーツーリズム人手不足を招く

少子高齢化社会が絡んでいるようだ。なにかと「子どもに問題がある」と

決めつけると、マイペースな子が生きづらくなってしまう。そういう環境で

子どもを産み育てたいとも思えなくなる。もちろん保育園も全力を

尽くしていると信じたいが、妻がイライラしてしまうほどに責め

立てられたのではないだろうか。そして、目の前にある「実家が忙しい」と

いう現実を見て、実家をヘルプする方が楽だと感じてしまったのでは

ないだろうか……。  とはいえ、「我が子を捨ててでも」と岳斗さんが

感じるほどに妻が家を顧みていないということは、子どもたちの心にも

影を落としてしまうことになる。それを防ぐためにも現実を知って

対応する必要があるだろう。では妻は浮気をしているのだろうか。調査の結果

                     ♾️♾️♾️ 後編につづく ♾️♾️♾️ 

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