認知症の80代老妻が「特養」に優先入所した・・・

               

《和子は又々こんな記事を見た~》

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ところが異変が…「老老介護」のやりきれない現実

認知症の薬を飲み始めて

 東京都板橋区在住の秋田さん御夫婦は、高齢の二人暮らし。

夫の文男さん(84歳:自立)が週に3回ほどデイサービスを利用しつつ、

妻の千代子さん(82歳:要介護3)の生活を支えています。  千代子さんは

78歳を過ぎたころから物忘れも多くなり、80才を過ぎると

「大きな虫が部屋にいる」「警察官が入ってきた」

「今日は子どもが帰ってきている」など、かなりはっきりとした幻視まで

訴えるようになりました。 心配になった文男さんが、妹の紀子さんに

相談したところ、認知症の疑いを指摘され、検査をすすめられました。

紀子さんの息子がインターネットで秋田さんの自宅近くの認知症専門医

(日本認知症学会および日本老年精神医学会が認定している医師)のいる

心療内科を調べてくれたので、受診することにしました。  結果は、

アルツハイマー認知症レビー小体型認知症の混合型ではないか

とのこと。認知症はその種類ごとに特徴があるのですが、類似した症状も

あるため診断が難しいと言われました。まずはアルツハイマー

レビー小体型の認知症の治療薬のアリセプト(一般名:ドネペジル)を

1日3mgから開始。副作用の有無を観察した上で、2週間後に1日

5mgを朝に1回、服用することになりました。

「幸い、薬を飲み始めてからも妻には心筋梗塞心不全てんかん

呼吸困難などの重度の副作用はありませんでしたが、薬を飲むように

なってから前よりも自虐的な言葉が頻繁に出るようになった気がします」(文男さん)

千代子さんは、幼い頃から母親に、「あなたはお兄ちゃんと

違ってダメ人間よ」と言われ続けて育ちました。結婚後も子供を授かれ

なかったことを気にして「女としても嫁としてもダメ人間」と自分でも強く

思い込んでしまったといいます。「前から何かにつけて、自分は何も

できない人間なのにごめんなさい、といっていたのですが、最近は突然

私の手を強く握って泣きながら繰り返し頭を下げ続け、それが原因なのか

めまいを起こして座り込むこともあって。しばらくすると落ち着くのですが、

あの時は本当に慌てました」(文男さん)

特養への入所を検討

   

そんなある日、文男さんにも異変が起こりました。足に強い痛みを感じ、

病院を受診したところ、結果は閉塞性動脈硬化で手術(カテーテル治療)を

することになったのです。入院期間は4日間程度で済むそうですが、

問題はその間、千代子さんの面倒を見る人がいなくなってしまうことです。  

ケアマネジャーに相談した結果、文男さんの入院中はデイサービスで

お世話になっている特別養護老人ホームショートステイを利用することに

しました。 当初、千代子さんは「自分が他人様にお世話になるなんて、

そんなに偉い人間でないし生意気だって言われそうでいやだ」と、

抵抗しましたが、今回は人の手を借りないと難しい状況であることを納得、

渋々ながら承諾しました。 文男さんの手術は無事に成功、リハビリを経て

徐々に歩ける距離を伸ばすために運動療法を継続することになりましたが、

完全に以前の状態に戻ることは難しいことがわかりました。 そうなると、

文男さん自身、自分の身の回りだけで精一杯で、千代子さんの介護まで

することは、現実的にできません。そんな老夫婦世帯の状況を見ていた

ケアマネジャーからは、千代子さんを特別養護老人ホームへ入所させては

どうかと提案を受けました。 実は文男さんも少し前から

特別養護老人ホームのことを検討していました。千代子さんの

要介護度は3ですから入所条件は満たしていることもわかりましたが、

申し込みまでには至っていませんでした。 特養は希望者が多く、待機も

相当いるため、入れるのが何年も先になるのであれば、申し込んでも

意味ないのではと思ったからです。

一緒に暮らせたはずなのに

   

 文男さんがそのことを伝えると、ケアマネジャーから意外な情報が

伝えられました。説明されたのは「特養の入所優先順位」です。それによると、

施設ごとの判定基準により、申込者一人ひとりの入所優先度を数値化し、

入所優先度の高い方から入所できるよう順位を調整してもらえるらしく、

それによると秋田さんは、次のことから点数が高くなることがわかりました。  

01)入所希望者との二人世帯で主な介護者が、要介護・要支援状態、

  病気療養中など十分な介護が困難に該当する。  

02)千代子さんは文男さんに生活を頼り切っていて認知症高齢者の

  日常生活自立度も点数が高くつく。  

03)要介護2以上に認定されてからの期間も2年以上あること。  

その他にも、ケアマネジャーによると、特別養護老人ホームのデイサービスや

ショートステイを以前から利用していることで職員に顔を覚えてもらえて

いることや、現在の緊急度も高い上に、家庭の介護状況や身体状況に変化が

起きている点も有利に働くため、施設側も融通を効かせてくれる

可能性が高いと言われました。  実際、その後の展開は想像以上に

スムーズで、申し込みの直後に審査手続きが始まり、2週間ほどで施設に

入所できることになりました。 それ自体は幸運なのですが、文男さんの

気持ちは複雑です。自分が健康ならずっと一緒に暮らせていたはずなのに、

自分が不甲斐ないために千代子さんを一人で施設に入れなければ

ならなくなってしまったからです。 自宅から施設に向かうタクシーの中で

「今日からは別の家で暮らしてもらうことになったよ」と千代子さんに

説明する文男さんの目からは、大粒の涙がこぼれたといいます。 本当に

優しい文男さんですが、千代子さんのことで、更に辛い思いをするのは、

むしろこれからだということを、この時の文男さんはまったく

知りませんでした。 千代子さんは要介護3で、認知症ですが全く理解能力が

ないわけではありません。特養に入ってからも、特別施設のスタッフに

手間を掛けさせることはありませんでした。自分から積極的に誰かと

仲良くしようとか、仲間に入りたいというわけでもなく、静かにソファに

座ってテレビを見ていることが多い日常でした。

「家に帰る」と大騒ぎ

   

ただ、他の施設にいる利用者が意味もなく一人で怒鳴る声に怯えたり、

集団で嫁の悪口を言っている声を自分に向いていると勘違いすることが

あり、そんな時は介護を拒否するようなってしまうこともあるようです。  

「寂しくなると「自分は何をやってもダメで、どうしようもない人間だ…」

と、通りがかりの職員に話しかけることもありましたが、『大丈夫? 』

『何かあったの?』と、職員に応えてもらえば落ち着きました。

職員が自分のことを心配してくれている状況に、喜びを感じていたのでしょう。  

反対に邪険な対応をすると『私がここにきたから、皆に迷惑をかけて

いるのね、ああ申し訳ない、私なんていなくなればいいのね』と、

頭をぶんぶん振って倒れそうになるため、職員の方は声掛けや対応に

工夫をしながら介助をしてくれていたようです」(文男さん)  

千代子さんの様子に変化が起きたのは、入所してひと月がたった頃のこと。

朝、職員が千代子さんの部屋を訪れると、目を覚ました千代子さんが突然、

「あなた、私が邪魔なのね」と眉間にしわを寄せ、職員の腕をつかみ

体当たりしてきたのです。 その後も「家に帰る」と大騒ぎとなることも

増えました。 そこで、施設では、かかりつけの心療内科から預かった

情報提供を持って医療センター(精神科医)の往診を受けることになりました。

問診は職員も同席します。 千代子さんは生年月日や年齢は答えられない

ものの「良く眠れている」「ご飯は美味しい」などの受け答えは、

しっかりとできました。ただ、この問診では普段の千代子さんの状態が

医師に伝わらないと思ったようで、介護職員は横から、家に帰るという

頻度が多くなり、職員に手をあげる、モノを投げるなど興奮状態が

見られることなどを補足説明しました。その結果、アリセプト

(一般名:ドネペジル)5mgからメマリー(一般名:メマンチン)5mgに薬が

変更になりましたが、その後も帰宅願望が悪化して不眠状態が続いたため

メマリーは10mgに増量され、不眠症の薬も加わることに

なってしまいました。 この時点で職員は、声掛けや対応に気を遣えば

千代子さんの症状は落ち着くことはわかっていたはずです。しかし

興奮状態が何時間も続くことがあり、頻度も増加傾向にあるように感じて

いたため、千代子さんの状況を正確に医師に伝え、薬を処方して

もらうことで、千代子の興奮状態をおさえたい。なんとか平和に暮らして

ほしいいう願いから、職員も必死だったのでしょう。 しかし、結果的に

そうした職員の行動は、千代子さんの状態を改善させることに

繋がりませんでした。むしろ、日を追うごとに事態は悪化したのです。

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【老妻が ホームで宣言 主婦卒業(シルバー川柳)】