素晴らしい・おばあちゃん元気ですか?―2

       

《和子は又々こんな記事を見た~》

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  103歳の哲代おばあちゃん。

 夫を亡くして20年、朝晩仏壇でお経を上げる。

 畑仕事、デイサービス、仲よしクラブ。

          退屈している暇なんてない

「自分で自分を励まして、奮い立たせなくちゃあという思いは、

昔からありますね」100歳を過ぎてもひとり暮らしを続ける姿が、

人生100年時代のモデル」として注目を集めている石井哲代さん。

週に一度の「仲よしクラブ」

舅に続いて姑を看取り、56歳で定年退職して、ようやく肩の荷が下りました。

それまでは、隙を見せないように鎧を着けていたんでしょうな。

「あの家には子どもがおらんけん」と陰口を言われたくない一心で。

いつも心の底に「やりたくないけど、やらねばならない」という葛藤がありました。

今からは想像もできないぐらい尖っていましたねえ。

自分で自分を励まして、奮い立たせなくちゃあという思いは、昔からありますね。

あれは、確か53歳のとき。便利な農機具が農家に普及したもんで、

暇を持て余すようになった村のおばあさんたちが何人も、田んぼの

畦道に座り込んでぼんやりしとる。これはいかんと思い、

「みんなで集まりましょうや」と声をかけ、「仲よしクラブ」が始まりました。

現役の教員だった私が指揮棒を振り、みんなは家から音の鳴るものを

持ってきて、棒で叩いて大合唱。楽器なんてないから、孫のおもちゃの

木琴やでんでん太鼓、卵焼き器とか、そんなもんです。それでも、

みんな夢中になってね。当時のメンバーは、私より年上の明治生まれ。

子どものころから働き詰めだった。初めて手にした自由な時間が、

よほどうれしかったんでしょう。

あれから50年。今も週に一度は集まって大正琴の演奏やおしゃべりを

楽しんでいます。亡くなった仲間や家族の名前を包装紙の裏に書いて

壁に貼り、年に一度、みんなでお経を上げる「偲ぶ会」も開きます。

一人が背負える悲しみには限界があるでしょう。「偲ぶ会」は、

みんなで悲しみに立ち向かい、乗り越えていくための会なんです。

        

        🌀 毎晩仏壇に向かってお経を上げる

消えない悩みは日記に書いて

20年前、私が83歳のときに良英さんは亡くなりました。とにかく

仕事熱心で、子どもにも親にも慕われる豪快な先生でしたねえ。

お酒が好きで、毎晩家にお客を大勢連れてきては賑やかに飲むんです。

その姿が目に焼きついてるから、今も朝晩、大好きだった日本酒を

杯に入れて供えて、大きな声でお経を上げるの。寝る前は、枕元の写真に

「おやすみなさい」とあいさつして。もしかしたら、「お前は、

ちとしゃべりすぎじゃ。うるさい」とぼやいているかもしれませんな。(笑)

亡くなる前、良英さんは、「子どものことは気に病まんでええ」と言って

くれました。そのとき初めて、ああ、この人も一緒に悩みを背負って

くれていたんだとわかって。でもね、子どもを授かれなかった申し訳なさは、

どうしても消すことができません。自分でもいい加減、吹っ切っていいと

思うんだけど。これだけは、一生引きずるんでしょうな。

でも、しかたがナイチンゲール!こんなふうに私、悲観的なことも

笑いに変えるんです。毎晩つけている日記にも、ほら、「雨だから来る人も

ナイチンゲール!」って書いてあるのよ。

心の落ち込みは魔物です。落ち込みそうになったら、早めに自分を助けて

あげないと。日記をつけるのも、自分を助ける手立て。

ちょこっと悩みを書くと、スーッと心が落ち着くの。

年をとったら、一日が長いと言う人が多いけれど、私にはあっという間。

朝食に味噌汁をこしらえ、畑仕事をして近所の人とおしゃべりに

花を咲かせていたら、もう日暮れです。最近は週3回デイサービスに

通っているので、退屈している暇なんてないの。

一昨年に2回、昨年も1回、体調を崩して入院しましたが、姪や周りの

人たちに支えられて、こうして元気にひとり暮らしができています。

ほんまにありがたい。感謝感謝です。

年寄りになったら受け身になって、何でも人にやってもらうのが当たり前と

思いがちだけど、それじゃいかんと思うの。いくつになっても、

自分でできることは自分でやりたいんです。

   

🌀 3年日記を愛用。日々の出来事を綴っている

予定があるとウキウキする

前庭に柏の木があるでしょう。あんなふうに立派に葉が広がってくると、

大好きな柏餅が作りたくなるの。近所のよりちゃん(友人)や

文ちゃん(友人)に声をかけて、うちの台所で一緒に作るんです。

両手で優しくころころとあんこを包んで、洗った柏の葉を巻いて蒸すだけ。

絶品の柏餅ができあがりますよ。桜の季節には、仲よしクラブのメンバーと

お花見に出かけて、おいしいお弁当をいただきました。

そんなうれしい予定は、忘れないように台所のカレンダーに書き込んで

何度も眺めては確認します。「あと何日で会える」と思うと、

友だちの顔が浮かんでウキウキしてくるの。

最近は、講演を頼まれたり、こうして取材を受けたりと思わぬ予定が

入るようになりました。畏れ多いと思うけれど、せっかく呼んで

くださったんだから、気取らず飾らず、ありのままをお話しするように

しています。 実は今、すごく楽しみにしている予定があるの。

5月に教え子がクラス会を開くんです。私が初めて受け持った、

あの鼻水を拭いてやった1年生たちです!みんな88歳、米寿の立派な

おじいさんとおばあさんになりました。また会えるなんて感無量。

昔話に花を咲かせようと思います。

残りの人生を考えると、何ということのない一瞬一瞬がいとおしくて

たまりません。最後に「ああ、ええ人生じゃった」と思えるように

生きていきたい。もう少しひとり暮らしを頑張りますよ。

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【このごろは 話も入れ歯も 噛み合わず(シルバー川柳)】