風の便りで聞くと、ナミさんにはお兄さんが居て、甥っ子さんだか
姪っ子さんだか良く分かりませんが、その様な若い方が時々ナミさんの
お宅を訪れて居た様ですが、お兄さんと壮絶な争いをしお母さんを連れて
家を出て、今ここで親子で夜・昼となく細かい靴下の編み目を拾い必死に
頑張っているナミさん、
そんなナミさんもお母さんに先立たれ天涯孤独と成ったナミさんに、又々
お叱りを受けるかと思いながら和食レストランの皿洗いに招待して、又彼女も
和子に多少は心を開いて呉れて、お休みの日に「お茶飲みに来ない?」って
誘われてお邪魔した事が・・・
彼女は取っても几帳面な方でお家の中も取ってもキチンと整理されてて
素晴らしかったです。聞く所に依るとナミさんも年頃には素敵な男性と
結婚されて居たそうですが、若くして他界され子供も授からなかったとか?
やっぱり若い時に愛する旦那様に先立たれてナミさんの心の中には若いご主人が
住み着き、再婚などは考えられなかった・・・と言います
此れがナミさんの人生の縮図だったかも知れませんが、その後、和子も
子供も大きく成って高校・大学とばら撒く様にお金も掛るし・・・
転々と職を変えてすっかりナミさんともご無沙汰でした。
ナミさんのお宅にお邪魔して数年が経ち、有る日ナミさんの棟のお友達に
「この頃ご無沙汰してるけどナミさん元気かな?」って聞くと・・・
そのお友達は和子がリンキングをして居た事も、ナミさんと
お知り合いだった事も知らないから「アラッ?どうしてナミさん知ってるの?」
って感じでした。
その当時ナミさんは末期癌で港南台の病院に入院して、お見舞いに行くと
あの恐ろしかったナミさんも人恋しく成ってナミさんのお宅の上階の奥さんに
縋り付いて涙したとか?最終的には身寄りもなく市の方で埋葬し無縁仏さんに
あの綺麗に片付いたお宅の家財道具も全部市の方で処分されたとか?
和子がこの話しを聞いた時は未だ亡くなって49日に成らず、
良く「49日迄は住み家の周りで最後のお別れをして仏の路へ旅立たれる」
と言うお話を聞いた事が有ったけど・・・本当だかウソだか???
その時、和子は(未だナミさんはお向かいの棟の辺りに居るのかな?)
って思った・・・ナミさんさようなら・・・m(_ _)m