此処のお宅では「親奥さん・若奥さん・旦那様」と呼び、決して
「お婆ちゃん・奥さん・旦那さん」とは言わせない・・・
又若奥さんも自分の旦那様に対して「あなた~」とか子供の前でも
「お父さん・パパ」とは言わせないです。子供たちは「お婆ちゃん・お母さん
お父さん」って呼んでるけど・・・大人はタブーでした。
一番最初に親奥様から教わった事は「水は流しながら使ってはいけません・
全て洗い桶で水を溜めて洗いなさい・【親の恩は返せても水の恩は絶対に返せないから・・・】と???納得・・・((^▽^笑) )
このお宅の右手奥には綿向き神社と言う立派なお宮さんが有り、5月にはお祭りが有り日野地区全体のお祭りで、沢山の神輿・山車が出て町内を練り歩き、
旦那様は確か裃を着て先導を歩いて誘導されて居ました。和子がこのお宅に来て、
初めてのお祭り・見事な神輿・山車の行列は素晴らしい物でしたが、残念ながら大雨に見舞われて旦那様は全身びしょ濡れでした。
次の日に若奥さまとお手伝いさんのオバサンはクリーニング屋さんに洗い張りに
出す為に、この裃を解いて居ました。廊下を挟んで親奥様は自室で睡眠を摂り、
目覚めて~「倭子~倭子・・・」と若奥さまを呼ぶ声が・・・
若奥さまは一生懸命袴を解き、廊下・障子越しに「は~い、今袴を解いて居るので
何か御用ですか?」と返事をされると・・・聞かぬ振りをして・・・何度も
「倭子~倭子・・・」と・・・その内ブツブツ・・・と独り言を・・・
この親奥様は、呼んだら直ぐ来て、正座をして障子を開けて三つ指を突いて・・・
「何か御用ですか?」とお伺いを立てるのが常識・・・
和子はお教えの通り、正座をして障子を開けて三つ指を突いて・・・
「何か御用ですか?」と伺うと・・・「アッ和さん~肩揉んで・・・」と言われ
肩揉みを・・・肩を揉んでる間中、ブツブツと・・・独り言を・・・
和子は「若奥さまも手が離せなかったのでしょう?」何て言ったらお叱りを受ける所だったけど・・・未だ新人だから・・・ぐ~~~と我慢して呉れた様でした。