三国さん・・・-5

和子のお部屋の患者さんは婦人科の病棟で和子以外の方は皆さん

子宮筋腫の患者さんばかりでした。子宮筋腫は術後二~三日すれば

元気に成って二週間もすると皆さん退院して行きます。

その中の三国さんは和子より五歳ほど年上でご主人は辻堂で

本屋さんを営み四歳の可愛い男の子さんが居ました。彼女は前の年の

八月に子宮筋腫を切除し・・・今回は術後の後に腸が癒着し入院を・・・

彼女は入り口のベットですっかり憔悴して一日に一度、窓際に空を眺めに

来るのがやっと・・・の患者さんでした。

 

皆さん筋腫を手術した方は元気に売店に行ってお菓子を買って来て食べたりして

居ますが、誰一人と和子の配膳を廊下のキャスターまで下げては呉れようとしません。色々と理由をくっ付けて・・・

そんな時に三国さんは歩くのがやっと・・・と言う様な病弱な身体で和子の

配膳をして呉れたり・・・「寝たきりで動けないのは大変ね?」って和子に労いの

言葉を掛けて呉れました。

確かに皆さん、大変な手術をされた方ばかりだから・・・

でも~和子はせめて数日でも大変な思いをしたら・・・もう少し温かい手を

差し伸べて呉れても良さそうに・・・

 

 

【二世帯を 建てたが息子に 嫁は来ぬ】