和子のこぼれ話-120 〜空け渡し〜

長男は着々と引っ越しの準備をして居た。でも〜家に居る時は左程
寂しくも無かった。息子が出て行くと言いだして暫くして役所から
一通の手紙が届いた。遂に「まさか?」と思って居た現実が・・・
「収入オーバーで市営住宅を空け渡して下さい」と言う通知だった。丁度
長男も出て行くと言うし、次男も〜又和子もパートを辞めて夫の収入だけに〜
役所の方にその旨、話しましたが・・・「息子さんが出られても構いませんよ〜
奥さまがお仕事を辞められても構いませんよ〜只お宅は親子4人で此れだけの
収入が有るのですから、何時迄に空け渡して下さい」と・・・
和子も夫も役所に電話をして許しを乞いましたが、聞き耳は持って呉れず
遂に長年住み慣れた洋光台の市営住宅を出る羽目に・・・


長男は銀行に勤めて居るから・・・「年老いてマンションを買って借金を
背負ってのんびりする暇も無くなるのは忍びないから・・・北団地の賃貸でも
借りたら?」と言うが・・・長年市営住宅で住んでマイホームも持てない何て
其れは余りにも惨めだった。夫と2人で手頃なマンション探しが始まった
夫のお勤めは東横線の沿線、和子は桜木町、2人の息子も都内勤務だから・・・
せめて一駅でも通勤に近い所を???と見つけたのが大倉山のマンションと
根岸の駅前のマンションに手頃なのが???
でも〜和子は日曜日仕事が有って見に行けず、夫に見に行って貰った〜
大倉山のマンションは新築の建ち並ぶ一角に有る中古マンションでベランダが
狭く残念、根岸の駅前は丁度売れた所で空きは無かった〜〜〜