和子のこぼれ話-117 〜慶ちゃんの死〜

日本ジャージに入社して慶ちゃんと隣りの席でお昼を食べて親しく成り
和子は初めて安いパートの給料で、最も慶ちゃんは社員だったけど
当時11万円の給料で一人でアパートを借りて生活をする事に驚き
私は出来るだろうか?一人暮らし何て〜?って感心し、今思えば良い様に
利用された様な、複雑な心境でした。
慶ちゃんは子宮癌がアチコチに転移して抗がん剤治療を受けて髪の毛は
段々と抜け落ち、可愛そうだった。でも〜和子は長年裏切られた思いが
心中に駈け廻り、お見舞いに行く気にも成らなかった。散々尽くして
挙げたのに、和子の好意を良い様に利用しロイヤルでは良い子ぶって・・・
苦しんで・苦しんで、散々苦しんで、心の中から「秋ちゃん有難う〜
本当に申し訳なかった〜」って詫びなければ成仏出来ないよ〜〜〜と
和子は他人には言わないけれど、心の中でそんな事を思い自分を
慰めて居た。


それほど憎んだ慶ちゃんだったけど〜和子も人の子、良心が咎め
大船の共済病院へお見舞いに行った。薄暗い病室の廊下側のベットで
痩せこけて頭は禿げてバンダナを被り、ベットで起き上がって居たが
慶ちゃんと見届けるのに、ベットの枕もとの表札を見て確認しないと
寄り添って行けなかった〜
「慶ちゃん・・・」と言うと・・・「秋ちゃん頑張ったよ〜〜〜」って
大粒の涙を零した様な???
和子より少し早く日本ジャージに入社した慶ちゃんと一緒に以前の会社から
同時に入社した慶ちゃんの親友、渡部さんに慶ちゃんの症状を教えて上げて
お見舞いに行った方が・・・と思い渡部さんに電話をすると早速お見舞いに
行ったそうですが、もう既に個室に入り面会謝絶だったとか?
其れから数日後に亡くなった、亨年51歳だった。