和子のこぼれ話-75〜母の危篤〜

昭和63年8月、会社の納涼会で上大岡で楽しい一時を過ごし帰り道で
繁ちゃんとヨーカ堂の前で散々立ち話をして家に着いたのは10時を
過ぎて居ました。帰るなり夫から「樋田から電話が有って直ぐ折り返し
電話をする様に・・・」と言われ電話をすると、兄ちゃんが出て「今度は
本当に母さんは駄目見たい?明日一番の新幹線で帰って来るように・・・」と
夫は仕事が有るから後でも良いから〜と言う事で明〜一番の新幹線で、家に
着いたのは10時頃でした。


あの臭かった隠居の奥の間も兄貴に綺麗な青畳にして貰って母は床に着いて
居ました。「お母ちゃん、かーこよ〜判る?」って聞いても返事はして呉れない
姉さんが「夕べ、辰夫さんが来て機嫌よく話して居たから『お母ちゃん・
お母ちゃん・・・』って呼んでみな?」と言うから「お母ちゃん・お母ちゃん・・・」
と呼んでも返事はしない「かーこよ判る?」と何度も言うと「うん」と微かに
首を振る。もうその時には手足は氷の様に冷たく額も冷たかった。和子は
「お医者さんは?」と聞くと「老衰だから・・・口にお水を含ませて上げて
飲む間は大丈夫だとか?含ませたお水を受け付けなかったら終わりだとか?


以前に井戸の所で転んで崖に落ち、其れから腰が大分曲がって居たのに〜
母は仰向けに寝て居る?「曲がった腰は伸びたの?」って驚く位・・・
仰向けに寝た母は荒い息をして苦しそうでした。