和子のこぼれ話-130 〜いよいよ、長男結婚へ〜

長男は大学に入ってサークルは「歴史と文学の探訪の会」とか言う
クラブに入り、仲間と良く色んな所へ旅行に行きました。
一年過ぎてサークルの後輩も増えて、彼女も出来て、2グループ4人で
何時も行動を共にし、2人の彼女からも良く電話が掛って来たし長男は
色々お話しもして呉れた。「まこ君はまるちゃんと結婚するの?」と聞くと
「まるちゃんは宮田さんの彼女だよ〜」とか言って・・・


そんな有る夜、長男から電話が掛って来て夫が出ると「お母さんと代わって?」
「どうしたの?お父さんが出たのに・・・?」と言うと「お母さん、今度の
日曜日彼女を連れて行っても良い〜?」遂にこの言葉を待ってたのに・・・
「うん良いよ〜?まこ君、根岸に越してからで良かったね?」って和子は
思わず言っちゃった〜長男も「うん、そうだね?」って???
彼女は埼玉の人で3人兄妹の一人娘で上にお兄ちゃんが2人!
長男は2年前から彼女と結婚する為の準備でアパートを借りて家財道具を
集めて居た様でした。


長男は彼女とお付き合いを初めてから7年目で、遂に結婚へ・・・
田舎は昔ながらの風習で全て旦那さまを立てて、結婚式にはご主人の方が
でも〜和子は遠い横浜に嫁ぎ、2人の兄貴は、和子が病気をした時には
横浜まで来て呉れたけど〜2人の姉は来る機会が無い?
和子は田舎に帰る度に2人の姉に「息子の結婚式には絶対に出席してね?」と
頼み、又義理兄にも「申し訳無いけど、姉ちゃんに横浜に来て貰ってね?」と
此れからは忙しくなるぞ〜〜〜

和子のこぼれ話-129 〜まこ君は元気かな〜?

勇ちゃんの告別式も無事に終わり、長男も一人でアパート暮らしを初め
親子3人の平穏な暮らしが始まった。でも〜未だ長男は若いと言っても
和子には長男の生活が気に掛った〜(しっかりと3度の食事を食べて
居るだろうか?勇ちゃんの様にアパートでぐったりして居るのでは
無いだろうか?)って???
そんな事を気に掛け出したら・・・不安は募るばかり・・・夫に話せば
「大丈夫だよ〜?」とは言うけど・・・
思い切って夜遅くにアパートに電話をしても「ただ今、留守にして居ます」と
何度掛けても帰って居る様子は無い?溜まりかねて・・・「お母さんだけど
元気にして居るの?しっかりご飯食べて居るの?遅く成っても良いから
電話頂戴」と・・・留守電に・・・
2〜3日してやっと電話が掛って来て「銀行に大蔵省の査察が入って電話
出来なかった。ご免ね?」って・・・その声を聞いてホッとする。
昔と違い、今はコンビニは24時間、開いてて何でも食べられるのに・・・
此れを「親馬鹿!!」って言うのでしょうね?
普通なら心配しないだろうけど、65歳の若さで勇ちゃんは孤独死したから〜
未だ若いと言っても・・・

和子のこぼれ話-128 〜勇ちゃんのお通夜〜

一人で初めて東京の有る斎場に、勇ちゃんのお通夜の為に・・・
夕方6.00からのお通夜ですが、何しろ知らない所へ・渋谷で山手線で
新宿迄行って又乗り継いで・・・
行くと、昭ちゃんやとし枝さん、よねちゃん(とし枝さんの妹さん)や
昭ちゃんの息子の敬一君や千賀ちゃんは「遠い所を有難う〜」と暖かく
迎えて呉れたけど、みさちゃんは素っ気無かった。勇ちゃんが生前に
和子の悪口を散々言ってた事が伺えた。でも和子は良い気分はしないけど
平気だった!!
斎場には勇ちゃんの遺影の飾った祭壇が出来て居て、お参りをするのに
棺の窓を開けて勇ちゃんに最後のお別れを・・・と棺の窓を開けると其処には
白い布で包まれた勇ちゃんのお顔は見えなかった。聞く所に依ると暮れの
29日か、30日にストーブの前で倒れて息を引き取り、大分顔は赤く焼けて
居たとか?


6.00のお通夜の時間が近づいて皆さん其々の席に着くのに、和子は言っても
従兄妹、小林義雄を代表として前の席に座るべきだと自分で思い込んで前の
席に一応座って居た。するとみさちゃんが来て・・・
「和ちゃんはもっと後、其処にはOOさんが座るんだから・・・」と偉そうに
指示をする。「あ〜そう〜?」と言って席を譲ったけど、(散々勇ちゃんの
面倒を見て来たのに・・・何も知らない癖に・・・と勇ちゃんが告げ口を
した事を真に受けて・・・一度も『和ちゃん勇次がお世話に成って有難うね?」
とも言わない癖に・・・)と思ったら席、云々よりもみさこの態度に
腹が立った。無事にお通夜も終わり、昭ちゃんと、とし枝さんに「じゃ〜
帰ります。明日はお父さんも連れて来るから・・・」と挨拶をすると
傍に居たみさちゃんは、手のひらをひっくり返した様に・・・
「和ちゃん有難うね?勇次も死んじゃったけど、樋田の義雄さんや利雄さんに
今まで通りお付き合いをして呉れる様に頼んで置いてね?」だって?

和子のこぼれ話-127 〜勇ちゃんの思い出〜

新年明けて7日の日に東京の有る斎場で告別式をするから出席して欲しいと
昭ちゃんから電話を貰い、和子は勇ちゃんの死に付いて正直驚いた事は
驚いたけど、悲しくは無かった。むしろ良かった〜と思った。こんな事を
言うと「和子の仲人さんだよ〜大事な旦那さまに巡り合わせて呉れたのは
勇ちゃんだよ〜」って怒られるかも知れないけど、和子は勇ちゃんには
散々苦労させられた。新婚当時から「和子は浮気女だから、監視しろ」と
雅ちゃんに言われて、狭いアパート生活の時こそ泊らなかったけど、団地に
越してからは、来ると当たり前の様に泊り、浮気女の監視所か、亭主面をして
威張り散らし、雅ちゃんと夫婦喧嘩をして寝る場所を失くし居候に来たり〜
せめてもう少し、素直な気持ちに成って雅ちゃんとの夫婦仲の複雑な胸の内を
零しでもすれば、聞いても挙げたし、従兄妹同士もっと仲良く成れたろうに・・・
和子は厚かましい勇ちゃんの態度に愛想を尽かし「もう来ないで?」とも
言ったし、年賀状を呉れても返事も出さなかった。
田舎の川相のオジサンの法事や、勇ちゃんの両親の法事に田舎に帰り、
兄ちゃん達に「和子は年賀状も呉れない」と散々文句を言って居たそうだけど
和子の勇ちゃんに対する、気持ちは冷え切って何を言われても聞き耳を
持たなかった〜〜〜


昭ちゃんから東京の斎場を教えて貰ったけど、行った事も無く不安だったけど
地図を見て色々道順をメモって電車に乗り継いでようやく斎場へ・・・

和子のこぼれ話-126 〜勇ちゃんの死〜

和子の2人の息子は4年大学を出て、長男は銀行マン・次男は出版社に
就職をして転職する事も無く順調に・・・一方清水さん宅の2人の息子は
和子の息子と同じ年で長男は4年大学を出て就職をしましたが、
営業が嫌だとかで、都内の大分遠い地の会社に就職をし通勤に
大分時間が掛るとか?それでも彼の選んだ路だから頑張って居た様です。
次男は専門学校に進学し、不況の波にもまれて、佐川急便でアルバイトを・・・
有る時、荷物を持って来てビックリ・・・


負けず嫌いな清水のオジサンは小学高学年の頃から「塾に行け」と追い立て
「行けばお小遣いを沢山遣る」とか言って塾通いをさせて居ましたが、結果は?
結局長男も通勤が大変で転職をしたとも???
そんな訳で2人の子供も和子の息子に負け、市営住宅から追い出されて
出て行く結果に成った事でかなりショックを受けたのでは???


マンションに越して一年過ぎて新しい新年を迎えて直ぐに朝,7.00頃に
電話が掛って来た。出ると珍しい昭ちゃんからだった?
「珍しい、皆さん元気ですか?」と聞くと「実は勇次が暮れに死んじゃって
東京のOOの斎場に来て欲しい」と言う電話だった
何でも雅ちゃんと別れて世田谷の昭ちゃんの家の傍にアパートを借りて
一人で生活して居て、昭ちゃんのお宅にも良く行って居たとか?
暮れにも昭ちゃんの山中湖に有る別荘に一緒に行く筈だったのに
全然来ないから、電話をしても出ないし、何時もお世話に成ってる山口さんに
お願いして勇ちゃんの自宅に行って貰ったらストーブを点けっぱなしで
ストーブの前で亡くなって居たとか?享年65歳

和子のこぼれ話-125 〜家族ぐるみのお付き合い〜

7月に引き渡しの契約でマンションを買ったけど、結局引っ越しをするのは
11月だった。仕事の合間に荷物の整理をし全部アパートを借りて出て行った
長男の部屋に・・・其れにしても折角、長男から「今度の日曜日に彼女を
連れて行くから・・・」って言われたら恥ずかしいから・・・と思い夫の
ご機嫌を伺いながら10枚ほど有る襖を全部張り替えて準備して居たのに〜
(そ〜だ?清水さんちの襖と取り代えようか?)って思ってオバサンに言うと
「いいよ?此のままで・・・」って言われちゃった〜
若し逆で清水さんが越して「襖を代えて遣ろう?」って言われたら和子は
喜んで代えて貰うのに???でも〜ま〜こんな事はしてはいけない事だから〜


当時大型ゴミも一軒で4点しか出せなく成って清水さんにお願いをして名前を
借りてゴミを出させて貰ったけど〜20数年家族ぐるみでお付き合いをし
他人様から羨ましがられる程のお付き合いだったのに〜夫が清水のオジサンに
「車で植木を運んで貰えないだろうか?」って頼んだらアッサリと断られ
何と無く異様な雰囲気を感じた。


根岸の高台のマンションに引っ越し、当時は根岸に馴染みも無く有る日曜日に
夫が洋光台の行き付けの床屋さんに行って清水さんご夫婦とバッタリ
逢ったとか?未だ越して一ヶ月位経ってからかな?夫は帰って来て・・・
「今日オジサンとオバサンに逢ったよ〜」「そう?『お茶飲みに寄って
来なよ〜?』って呼んで呉れた?」「ううん?全然・・・俺が『偶には遊びに
来てよ〜』って言ったら『そんな豪邸に行けるか?』だって?」
20数年も普通、家族ぐるみでお付き合いをして居た仲なら『寄って来なよ〜』
って言うのも当然だし、『そんな豪邸に行けるか?』何て言わないのにね?
やっぱり先に市営住宅を出た事に嫉妬して居るのかな?

和子のこぼれ話-124 〜まこ君ご免ね〜

4階の市川さんも折角両親に結婚するからって買って貰った大切な洋服ダンス
今度、新しいお宅は全てクローゼットに成って居て「要らない」と言う
ご主人の気持ちも判るし散々悩んだ様ですが、和子が「欲しい」と
言ったお陰で捨てる事も無く喜んで呉れたし、和子も嬉しかった〜夫は
和子がお嫁に持って来た洋服ダンスも、昔の物だけに品が良く「捨てるの
勿体ないよ〜壊れた所は俺が直して遣るから・・・」と結局狭い市営住宅では
置く所も無く幸い長男がアパートを借りて出て行ったから長男のお部屋に・・・


結局市営住宅を追い出されて「マンションに移るのだからアパートを
借り無いで家に居たら〜?」って散々言ったけど〜息子は目的が有って
アパートに・・・「新子安なら近いから大丈夫でしょう?又帰って来るから〜」
と言って自分の車に布団を積んで「じゃ〜行って来るね?」って
出て行かれた時は、何とも言い様のない寂しさが込み上げて来た。悲しかった
でも〜和子も父に猛反対をされて横浜に来て(此れは次第仕送りだなあ?未だ
次男が居るから・・・)と自分を慰めて・・・


月日が経って、長男の出て行った事の寂しさも忘れて、4階の市川さんに
洋服ダンスを貰って長男の部屋に置き、又和子は・・・
「お母さん、今晩帰って泊るね?」って長男に言われたら・・・あの子の
寝る所が無い?僅か半年程だけど・・・和子は長男に申し訳の無い事をしたと
何て薄情な母親だろう?と心が痛んだ。