和子のこぼれ話-124 〜まこ君ご免ね〜

4階の市川さんも折角両親に結婚するからって買って貰った大切な洋服ダンス
今度、新しいお宅は全てクローゼットに成って居て「要らない」と言う
ご主人の気持ちも判るし散々悩んだ様ですが、和子が「欲しい」と
言ったお陰で捨てる事も無く喜んで呉れたし、和子も嬉しかった〜夫は
和子がお嫁に持って来た洋服ダンスも、昔の物だけに品が良く「捨てるの
勿体ないよ〜壊れた所は俺が直して遣るから・・・」と結局狭い市営住宅では
置く所も無く幸い長男がアパートを借りて出て行ったから長男のお部屋に・・・


結局市営住宅を追い出されて「マンションに移るのだからアパートを
借り無いで家に居たら〜?」って散々言ったけど〜息子は目的が有って
アパートに・・・「新子安なら近いから大丈夫でしょう?又帰って来るから〜」
と言って自分の車に布団を積んで「じゃ〜行って来るね?」って
出て行かれた時は、何とも言い様のない寂しさが込み上げて来た。悲しかった
でも〜和子も父に猛反対をされて横浜に来て(此れは次第仕送りだなあ?未だ
次男が居るから・・・)と自分を慰めて・・・


月日が経って、長男の出て行った事の寂しさも忘れて、4階の市川さんに
洋服ダンスを貰って長男の部屋に置き、又和子は・・・
「お母さん、今晩帰って泊るね?」って長男に言われたら・・・あの子の
寝る所が無い?僅か半年程だけど・・・和子は長男に申し訳の無い事をしたと
何て薄情な母親だろう?と心が痛んだ。