和子の生い立ち-41〜親奥さまに反発〜

山中家はバス停から綿向神社の境内に通じる参道沿いに有りお祭りの時は
出店が出たりお参り客で賑やかです。春5月にお祭りが有り、その日は
大雨で旦那様は紋付き袴に裃を着て出席され、びしょ濡れに・・・
これを若奥様はほぐしてクリーニングに・・・
雨の降る日に奥の中の間で、紋付きをほぐし、和子はミシンで雑巾を縫い
オバサンは正英ちゃんをおんぶしてお守をし、廊下を挟んだお隣のお部屋では
親奥さまがお休みでした。
「オバサ〜ン・オバサ〜ン・オバサ〜ン・・・」と親奥さまはオバサンを
呼んでます。オバサンは正英ちゃんをおんぶして何処まで行ったのか
返事は有りません。若奥様はお仕事をしながら「オバサンは正英のお守をして
居ません」と言いますが、聞いて聞かない振りをして・・・
「オバサ〜ン・オバサ〜ン・オバサ〜ン・・・」って・・・
「居ませ〜ん」と言い合う間に・・・「肩が揉んで貰いたいんだけど〜〜〜」と
言いながらブツブツ・・・と
和子は障子を開けて、三つ指を突いて「今正英ちゃんをおんぶして外にでも
行かれたのかしら?呼んで来ましょうか?」と言うと・・・
「和さんで良いから肩を揉んで〜?」って言われ仕方なく肩もみを・・・
30分?1時間近く?揉んで居る間、若奥様の悪口をブツブツ・ブツブツ・・・
「私がオバサンを呼んでるのに〜呼びに行かない?」とか何とか???
「若奥さんも着物をほぐして居られるから〜」と和子が一言、言い返せば
「もう良い〜下がって仕事しなさい」って怒って背中を向けて不貞腐れている。


この時、和子はお手伝いさんに行くのは学校を卒業して初めて社会に出た時に
行く物だと・・・
初めて社会に出た時なら(社会と言う物は・・・お金を頂くと言う事は
こんなにも厳しい物だ!)と納得し頑張るのでしょうが・・・
和子の様に会社勤めで8時間働けば自由に好きな事を
して来た者には、厳し過ぎる。今時の若者に三つ指を突いて
「今正英ちゃんをおんぶして外にでも行かれたのかしら?
呼んで来ましょうか?」何て言う者が何処に居るの?馬鹿々しい・・・
和子は洋一と結婚したいばかりに、この家に来たのに・・・