和子の生い立ち-42〜久々に京都でデート〜

山中様宅は大きな屋敷でお庭も何か所も有り、年に一度は長浜から
植木職人の方が数人でお庭の剪定に何日か見えます。
その職人さんの中に和子より3〜4歳程年上のお兄さんがアルバイトに
来て居ました。裏の小屋で10時と3時に休憩されるのでお茶とお菓子を
出します。皆さん年上のオジサンばかりですが、彼は和子と同年代で・・・
一言・二言お話しをし仲良しに成りました。
彼は中川洋さんと言い両親と妹さんと4人で百姓をして生計を立て
百姓の暇な時にアルバイトで毎年山中様のお宅に来て居るとか?
「お嫁さんは?」と聞くと「未だ独身で百姓をして居ると誰も
お嫁に来て呉れる人が居ない」と・・・
「じゃ〜私がお嫁に行って遣ろうか?」何て冗談を言いながら・・・
楽しいホンの僅かな時間を過ごしました。


和子は都会に憧れ、洋一と比較すればやっぱり田舎の人でオジサンって
感じでした。彼は「じゃ〜私がお嫁に行って遣ろうか?」って言った冗談を
聞き逃さず、「今度、お休みの日に何処かへドライブに行こうか?」って
誘って呉れました。この窮屈な山中さんのお宅で朝早くから夜遅くまで
縛られて偶に息抜きがしたくって・・・月に2日の休暇を頂くので
彼の誘いを受けました。
「じゃ〜2日のお休みを頂きます。」と山中家を出て大窪まで迎えに来て呉れた
彼の車で京都の苔寺へ・・・
帰りは川瀬の駅か尼子の駅迄送って貰い終バスで実家へ帰ると言う約束で・・・
久々に京都に来て楽しい一日を過ごしました。当然の如く彼は「結婚を前提に
お付き合いをして欲しい」とせがまれましたが、和子は洋一との事も有り
又幼い頃から足が弱く百姓等は出来ないとお断りをしましたが「結婚をしたら
絶対に百姓はさせない」と・・・


彼は洋一よりお兄さんだし洋一よりず〜〜〜と頼れる男性でしたが
和子はどうしても結婚して百姓は?幾ら「百姓はさせない」と言われても
せざるを得ない事は重々心得、結婚に対してのお返事は出来ませんでした。
帰る時、川瀬の駅か尼子の駅迄と言う約束でしたが、彼は運転手、終バスの
後を追って結局は和子の実家の辻まで送って呉れました。
「今日はかーこが帰って来るから〜」と母は首を伸ばして辻に出て
待って居ました。彼の車は和子を降ろしUターンして帰り、不思議に
思った母は「誰に送って貰ったの?」と・・・
「終バスに乗り遅れたから大杉に行く人に送って貰ったら『樋田まで
乗せて行って遣る』と言って此処まで送って貰ったと・・・嘘を・・・