和子の生い立ち-13〜近江織物株式会社〜

生まれて初めて親元を離れて一社会人に成った和子は一番に驚いた事は
同期で入社した新入社員が140人。その半数以上の人が九州や四国の人!
九州の熊本、鹿児島・四国の愛媛・高知県の人々、
「言うちゅうけん・ホヤばってん」と早口で九州や四国の方言で
話されて居るのを聞いて、呆気に取られました。
新入社員140人は北寮の新築の寮でA番・B番とに別れA番の人は1階
B番の人は2階に別れ、一部屋8人に其々半間の観音開きの押し入れが中央に・・・
下はお隣さんと2人で布団入れ・上は天袋と中央の観音開きの押し入れに
貴重品を入れる様に鍵が・・・食事は3度食堂へ・・・お風呂は
東寮と西寮の真ん中に大浴場が・・・

当時はまるで修学旅行に来た様で物珍しくって楽しかったです。
入社して1ヶ月は常勤勤務で朝、8.00〜17.00迄歩いて10分足らずの所に
有る宮荘クラブで研修、グレーの制服上下を着て名札を付けて表門に集合し
皆さんゾロゾロ・・・と2列に並んで宮荘クラブへ・・・

有る時、夕方暗く成ってから北寮の玄関前に皆さん呼ばれて・・・
上司から・・・「140人採用されて、皆さん一緒に今はお勉強をして
居ますが、クビに成る様な事は絶対有りませんから安心して下さい。」と?
地方から集団就職で来た仲間が140人と言う新入社員に驚き
「クビに成るんじゃ無いか?」と噂を立てて騒動を起こしたのでは?
「段々と先輩たちが辞めるから大丈夫」と・・・

お部屋の片隅でシクシク泣く声を聞いた事も・・・
県内の仲間は、帰りたくなったら何時でも帰れるけど九州や四国から
来た仲間は、簡単とは帰れない。14〜5歳の未だ々子供が遠い故郷を
後にして来た事を後悔した仲間も多かったのでは?

入社当時は1日中グレーの制服の上下を着て焼き杉の下駄を履いて〜
色気などは丸で無し!囚人服を着た集団の様でした。