43歳妻が思わず唖然―2・・・

       

《和子は又々こんな記事を見た~》

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年末年始に義母が突然わが家に押しかけてきた…

          理由を知って43歳妻に浮かんだ「新たな不安」

イライラを募らせたサツキさんは、このまま帰りたくないと途中で路肩に

車を止め、缶コーヒーを飲みながら心を落ち着けた。

「娘から、ママ大丈夫? とLINEが来ました。娘には心配させたく

ないから、大丈夫、なるべく早く帰ると返信しましたが、はらわたが

煮えかかっていましたよ(笑)」 そして夜10時を回ったころ、ようやく

自宅マンションにたどりついて玄関を開けると義両親の靴が散乱していた。

人の家に来たら靴ぐらい揃えろよと心の中で毒づいた。

「リビングに入っていくと、すでにごはんも終わっていた。なんかね、

時間的におかしいんですよ。もしかしたら義両親は私が着くのを待たずに、

適当なところでタクシーに乗ってしまっていたのかもしれない。

だったら早く言ってよと思ったけどいきなり責め立てるわけにも

いかないので、『どうしたんですか、こんな急にいらっしゃるなんて』と

言ったら、『息子の家に急に来たらいけない? あなた、遅いのよ。

あんな人混みでどこへ行ったらいいかもわからないのに、どうしてすぐに

来てくれなかったの』と逆に非難されて。

わりに合わないですよ。お腹がすいていたのでキッチンへ行くと、

ごはんがない。夫がやってきて『悪い。父さんと母さんが全部食べちゃって。

もっと炊けばよかったんだけど』と」

サツキさんは冷凍しておいたごはんをレンチンし、娘がなんとか

死守したとのちに言ったおかずでさっと夕飯をすませた。

夫を呼び「どこに泊まる気なの?」と聞くと「さっきネットで

ホテルを検索したけど、もう今からじゃどこもあいてない。今日だけ

泊めてやってほしい。オレはリビングで寝るから」と言った。

「うちは3LDKで、子どもたちの部屋と夫婦の部屋しかない。結局、

私たちの寝室を義両親に明け渡しました。正直言ってすごくイヤだった。

うちはシングルベッドを並べて寝ているんですが、夫のベッドに義父が、

私のベッドに義母が寝るしかないわけです。

あわててシーツや枕カバーを替えました。ふたりはお風呂に入ってさっさと

寝室へ。ありがとうとか世話をかけるとか、まったく言わない。

夫と私はリビングのソファで毛布にくるまって寝ましたよ。

あまりに体が痛いので、私は途中から娘のベッドに潜り込みました」

そもそもこの人たちは何しに来たのか?

熟睡できないまま朝を迎え、キッチンからの物音に行ってみると、義母が

朝食を作っていた。そんなこといいです、私がやりますからと言うと

「共働きの家って、朝ご飯、ちゃんと食べないんでしょう。今日は私が作るから」と。 

「何やら漬物や干物などを持ってきたようで、朝からごはんと

焼き魚などが並びました。夫も子どもたちも、こういうときは寝坊するのが

楽しみですからまだ起きてこない。義母は自らみんなを起こしに行きました。

それが朝の7時。何が悲しくて休みの日に朝7時からごはんを

食べなければいけないのか……(笑)」

夫も子どもたちも起きてはきたが、みんなぼんやりしている。義両親だけが

バクバクとごはんを食べていた。娘は「私、いいや。ごめんね、おばあちゃん」と

パンを焼き始めた。 夫はあわてて「いや、今日はごはんにしよう」と声を

かけたが、娘は息子の分まで焼いている。

「ママ、オムレツ食べる? と娘に言われたんです。娘はこのところ

オムレツに凝っていて、毎朝のように作ってくれる。娘の気持ちを考えると

イヤとは言えなくて、うん、食べると言ってしまいました。結局、

義母の朝食を食べたのは夫だけ」

食べ終わると義父母はリビングでテレビを見始めた。片付けはいっさいしない。

テーブルの上には食べ終わった茶碗も置いたままだ。

「そもそも、何しに来たのか聞いてよと夫をつつきました。

娘も息子も夫を睨んでいた。クリスマスにかかったインフルエンザも

ふたりともよくなっていたから、大晦日はみんなで横浜の港へ行く

はずだったんです。 夫はリビングでこそこそ両親と話していましたが、

義母が急に『サツキさんがうちに来るのがイヤだというから、私たちが

やってきたんですよ』と大声を上げるんです」

義母が突然押しかけてきた謎が解けた

イヤなわけではなく、子どもたちがインフルエンザにかかったので今回は

大事をとってうかがうのをやめただけですと、サツキさんも声を大にした。

「だって子どもたち、風邪なんてひいてないじゃないと義母は言う。

風邪じゃない、インフルですと私も言い返して険悪な雰囲気になりました。

来るなら来ると言っていただかないと、こんな狭い家じゃ泊まって

いただくのも申し訳ないしと慇懃無礼に言うと、

『行くって言ったら来ないでいいって言うでしょ。あなたは私を孫に

会わせたくないんでしょ』と言いたい放題。さすがに義父が

『やめなさい』と止めていました。

   

子どもたちのこともあるので、私は夫に『あなたがおもてなししてね。

私は予定通り、子どもたちを連れて横浜に行ってくるから』と告げました。

じゃあみんなで行こうと夫が言うので、うちの車は6人は乗れません、と」

午後を横浜でゆっくり過ごしているうちに、サツキさんの気持ちにも少し

余裕が生まれた。せっかく来たのだから、イヤな雰囲気のまま帰すわけにも

いかない。ここは夫のためにも少しいい“嫁”を演じてみるかと考えた。

横浜でおいしそうな中華料理とケーキなどを買って夕方、戻ってみると

義母はせっせとおせちを作っていた。おせちは今日、これから届くのよと

夫に言うと、「おふくろが買ったものなんか食べられないって」と

困惑したようにつぶやいた。「お義父さんのほうが話がわかりそうだったので、

リビングで所在なげにしている義父に『ご実家で何かあったんですか』と

聞いてみたんです。連絡もなく急に上京してくるのはやはり解せなかったし。

すると義父が『実は長女一家と次女一家が一緒に旅行に行ってしまったんだよ』と

小声で言うんです。どうやらお義母さん、自分の娘たちに嫌われたみたいで……。

義姉も義妹も、私には当たりが強かったんだけど、あれは義母の意向を

受けてのことで、実際には本当の母娘の関係がうまくいってなかった。

それが去年あたりから一気に表面化してきて、とうとう義姉と義妹が反旗を

翻したということのようです。義父は『おかあさんのあの性格は変えようが

ないからなあ。すまなかったね』って。それを聞いたところで、

やはり迷惑だなとは思いましたが、しかたがないと腹をくくりました」

実の親子の諍いを持ち込まないでほしい

ふたりは2泊して1日の午後、帰って行った。義母は一度も「ありがとう」とは

言わないまま、「おせちくらい作りなさいよ」と最後まで説教ばかりしていた。

子どもたちは「お年玉もくれなかった」と騒いでいたという。

   

「お義父さんから聞いたお義母さんの現状を、ふたりが帰ってから

夫に話しました。夫はうーんと唸ったきり。

実は昔から、姉と妹は母とは折り合いがよくなかった。ただ、ふたりとも

家賃がかからないし、自分で家を建てずにすむから両親と同居したり

敷地内同居をしたりしているんだろう、と。あとから確認したら、ふだんは

義姉一家も義妹一家も両親とは食事も別にしているそうです」

それでも「本当の親子だからさ、そのうちなんとかなるよ」と夫は

ノーテンキの構え。サツキさんは「今後、介護の問題が出てきたら

大変なことになる。きょうだいとはちゃんと連携しておいたほうがいい」と

夫を諭した。「本当の親子だから大丈夫なんて、迷信みたいなものですからね。

私は義両親だからこそ、今回、割り切ることができたけど、あれが

うまくいっていない実の両親だったら、絶対に家には入れませんよ。

あれからずっと、実の親子ほど怖いものはないんだからと夫を脅しています」

サツキさんとしては、実の親子の諍いをこっちに持ち込まれては困ると

いうのが本音だ。親の家庭と自分たちの家庭は別のものと、夫がしっかり

考えてくれないことにもモヤモヤしたものが残っている。今後は経過観察、

要注意ですね、とサツキさんは苦い笑いを浮かべた。

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義両親であれ、実の両親であれ、大事なのは「距離感」だ。近ければよいと

いうわけではないが、離れすぎるといざというときに困ってしまう。

サツキさんの夫のように、きょうだい間で親との距離感が違うのも、

トラブルの火種になりかねない。本当の親子だからこそ、理想の距離感を

推し量りつつ付き合う事が大事と言えそうだ。

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【座る時 立つ時ひざが 手を頼り(シルバー川柳)】