よし坊・・・

昭和16年と言えば戦争の真っ最中だったのかな?よし坊は病弱な母から

食べる物も満足に食べられない時に生まれて障害を持って生を受けた様です。

和子がパパと結婚した時もパパも仲人さんも、よし坊の事情は全然聞かされず

知りませんでした。最初、和子は(若しや遺伝で我が子にも???)と心を

痛めた事も・・・でも~パパに事情を聞いて納得・パパのお兄さん(長男)は

結婚する時にお父様が「他人様だとよし坊に辛く当たる事も???」と言う

配慮からお父様の妹の娘をお嫁に貰い、従兄妹同士の結婚とか?此れも納得

 

結婚した当時は、パパの実家に行くと茶の間の隅でチョコウンと座り

お客様が来る度に其れなりに愛嬌を振りまして居ましたが、パパの兄妹も

結婚し自宅をリフォームして総二階建てにして長男夫婦と子供たちは2階に

よし坊は仏間の奥のお部屋を貰い、陽の当たらないお部屋で

    (´・ω・‘)ションボリ・・・

 

和子はよし坊のお世話をする訳じゃ無いから何も言えませんが、せめて

日に一度位は表に連れて行って公園で日向ぼっこをさせて遣って欲しいな?と

何度も思いました。又お父様が亡くなってお通夜・告別式も自宅で

執り行われましたが、奥のお部屋から全然出して上げない?

言うなれば大勢のお客様の前に出すのが、躊躇われたのでしょう?

 

丁度お坊さんのお努めも終わり・・・棺を出して来て皆さんでお父様に

一輪のお花を添えて最後のお別れをする時、和子は誰も何も言わず、よし坊を

奥の部屋に閉じ込めて出さない、この雰囲気に耐えられずパパに・・・

「よし坊を連れて来てお父ちゃんに最後の別れをさせて上げて・・・」と言って

パパに連れて来て貰ってよし坊はお父ちゃんとの最後の別れを・・・

参列者の中からも「そうだ・そうだ・・・よし坊を・・・」と言う声と

すすり泣く声が聞こえた・・・ お父様は享年 80歳だった   ー合掌―

 

 【おい!おまえ いつしか妻の 名お忘れ(シルバー川柳)】