和子のこぼれ話-21〜兄ちゃんの思い出-5〜

小学2年生の秋、10月に兄貴(長男)は結婚し、同居生活が始まりました
当時は姉ちゃん(長女)は会社の寮に、2年程して姉ちゃんは結婚
君子(次女)も会社に就職して寮生活、残された家族は両親と兄貴夫婦と
兄ちゃんと和子と6人家族、後に兄貴の娘も生まれて8人家族でした。
姉さん(兄嫁)は若くして父を亡くし、お兄さんも幼子を残して戦死
母と兄嫁と姪っ子と4人家族で母に幼子と家事を任せ、百姓をして
生計を立てて来た人だから、家事も不器用、金銭に関してはケチの上に
ドが付くドケチさんで、素直にお金を出す人では無かった。其れなのに
両親は兄貴夫婦に「老後は世話に成るから〜」と家計を任せて、兄嫁を
其れはそれは大事にする。未だ々幼い和子は、僅か10円のお金も儘成らぬ
辛い幼少時代を・・・


そんな和子を兄ちゃんはしっかり見て居て呉れて・・・冬に成ったら
「炭俵を編め、一枚10円遣るから・・・」と俵編みを教えて呉れて
学校から帰ると必死に俵編みをしてアルバイトをしました。
時にはだらしない兄貴の脱ぎ捨てたズボンや上着を持ち上げて・・・
小銭の音がすると「有難う〜〜〜」って半分位調達をしたり・・・
有る夏休みに子供会で(彦根の松原に泳ぎに行こう〜)と言う事に成り
姉さんに「今度の日曜日に松原に行くからお小遣い頂戴?」と言うと・・・
「利雄さんに俵編みをしてお小遣い貰ったでしょう?」と折角貯めた
和子のへそくりまで当てにする。
この事を母に話し、母から姉さんに頼んで貰おうと・・・
所が母は「かーこには立派な兄ちゃんや姉ちゃんが居る。でも〜其々に
結婚して仕舞えばみんな他人様!かーこが泣いて帰って来る家は
この家しか無い?姉さんの言う事を聞いて兄ちゃんに貰ったお金で
行って来〜?」・・・と和子はその時(この言葉、実母の言う事か?)と
和子達が義務教育を卒業する頃は未だ々中卒で社会に出る仲間も半分は
居ました。5人兄姉の末っ子に生まれ、当然高校進学等はさせて呉れ様
筈も無いし・・・10円のお金も儘成らない、実の両親が居ても儘っ子同然に
扱われ、和子は早く社会に出てお金を稼ぎたいと何時も思って居ました。