和子の生い立ち-44〜おしげさんからの返事は〜

洋一と結婚したいばかりに辛い毎日を過ごして居るのに・・・
「先方さんを調べた所、立派なお宅の3男坊で『未だ若いから結婚等
考えて居ませんし、若し養子に貰って呉れるなら考えても良い』との
返事だったとか?又余りの立派なお宅で婚後のお付き合いが大変だから
諦めた方が良いよ?」と???
(養子になら貰って貰うけどお嫁さんには貰えない・・・と)
5人兄姉の末っ子に生まれ「他人様から後ろ指を指されずに元気に
生きて呉れればそれで良い」程度で誰にも期待されず、今日迄
生きて来た和子に「そんなに洋一が良いなら婿さんに迎えて遣ろう」
何て天と地がひっくり返っても言う筈が無い
だからと言って親子の縁を切って洋一と駆け落ちをする程の勇気は無い
和子はその時「おさきさんと洋子」の親子を思い出し・・・
姉さんが10円のお金を呉れ無くても「じゃ〜これを持って早く学校に行け」
と言って10円のお金を呉れた事も無い。君子が会社で働いて儲けたお金で
お菓子を買って食べて居るのを見て「君子にお菓子貰って〜?」って
強請っても「折角、君子は儲けて買いよった物を取って遣るな〜」と言った
薄情な冷たい母でも、やっぱり和子には母を裏切る事は出来ませんでした。
おしげさんが、洋一との仲を良きに計らって呉れると信じ、今日迄
この厳しい山中家で頑張って来たのに・・・見事に夢は破れ
和子は一日中泣きました。泣き続けました。
その時、優しい旦那様は「気分転換に何処かへ連れて行って遣ろう」と
大津の紅葉パラダイスへ・・・でも心の痛みは癒えず
「大津の紅葉パラダイスへ連れて行って貰った!」と言う事しか
覚えて居ません。ご免なさい旦那さま!!