《和子は又々こんな記事を見た~》
💦💦💦💦💦💦💦💦💦💦💦💦💦💦💦💦💦💦💦💦
自称“かわいそうな老人”の叔母に近づき、
遺産を奪い去った団体の「巧妙なやり口」
「蝶よ花よ」と育った叔母の波乱の人生
亡くなった父の実家は、中部地方で食品加工の事業所を経営しています。
自宅の隣に工場を兼ねた本社がある小規模な事業所ですが、
このところのインバウンド(訪日外国人観光客)需要で人気化した商品も
いくつかあり、それなりに繁盛していたようです。
事業所の代表は父の妹に当たる70代の叔母でした。叔母は父方の祖父母が
40代になってから生まれた子供で、父とは10歳以上年齢が
離れていたこともあり、祖父母から蝶よ花よと大切に育てられたと聞きました。
そのせいか物事が自分の思い通りにならないとすぐにかんしゃくを
起こしたりして、周囲は腫れ物に触るように接していました。
エキセントリックな言動で親戚やご近所とトラブルを起こすことも
少なくなかったようです。 父はそんな叔母とも、叔母を溺愛して何でも
言いなりの祖父母とも距離を置き、大学進学時に上京してそのまま東京で
サラリーマンになりました。
祖父母が亡くなった時には事業所や個人の財産は全て叔母に譲り、
事業所の経営にも一切口出しはしませんでした。もちろん、
叔母との交流は全くなく、私や弟がリアルに叔母に会ったのは
祖父母の葬儀の時だけです。
突然の訃報、見つかった遺言書
とはいえ、独身の叔母には親しい友人もいないらしく、いざという時には
唯一の親族である私や弟が面倒を見ることになるのだろうという
覚悟のようなものはありました。
そうした中で、その叔母が昨年末、急に亡くなったのです。
前日までは元気に仕事をしていたのに、その日、昼過ぎになっても
姿を現さない叔母を心配した古参の従業員が自宅を訪ね、
倒れている叔母を見つけたそうです。急性心筋梗塞で、発見時には既に
息をしていませんでした。
叔母の訃報を聞いて、私と弟は取るものも取りあえず父の実家に駆けつけ、
行政上の手続きや葬儀の手配などを行いました。その際気になったのが、
古参の従業員が叔母は遺言書を書いていたはずだと話していたことでした。
しかし、叔母の家から不動産の権利証や預貯金通帳は見つかっても、
遺言書らしいものは見つかりませんでした。
金融機関の貸金庫を利用した形跡もなく、法務局の遺言書保管所に
問い合わせても叔母から遺言書を預かってはいないとの返事でした。
やっぱり遺言書なんてなかったんじゃないか。そんなふうに思い始めていた
矢先、家庭裁判所から呼び出しを受けたのです。叔母の遺言書の検認
(遺言書の存在や内容を相続人に知らせる手続き)を行うとのことでした。
紙切れ1枚で消えた数億円の遺産
叔母の遺言書を預かっていたのは、ある宗教系団体の弁護士でした。
私は、その弁護士が叔母の葬儀に参列していたのを覚えていました。
見かけない顔だったので、叔母とどんな知り合いだろうと訝っていたのです。
驚いたのは、その遺言書の内容でした。A4の紙切れ1枚のシンプルな
遺言書には、叔母の個人資産、事業所を含めた全財産をその団体に
遺贈すると書かれていたのです。
私たちきょうだいは普段から叔母と交流があったわけではないので、
叔母がどんな字を書くのかは知りません。しかし、2年ほど前の日付や、
叔母の署名、押印のあるその遺言書は成立要件を満たしていると
判断されました。 小さな事業所だと言いましたが、叔母の個人資産も
含めれば評価額は数億円に上ります。紙切れ1枚でそれだけの財産が
私たちの親族から、その時点で名前も知らなかった団体へと
渡ってしまったのです。 私たちはただただ唖然とするだけでした。
こんなことが本当に自分たちの身に起こり得るものなのか、半信半疑でした。
別に叔母の遺産を当てにしていたわけではありません。むしろ、二人とも
事業所の経営を任されたりしたら面倒だなくらいに考えていました。
しかし、私たちの代で一族の財産が訳の分からない団体に
持っていかれるとなれば話は別です。 慌ててその団体について
調べてみたのですが、法令違反などの案件は特に見つかりませんでした。
事業所の顧問税理士に連絡したら、税理士も絶句していました。
いわく、配偶者や直系血族であれば遺留分侵害額の請求と言って、
本来受け取れるはずだった財産の2分の1なり3分の1なりを
請求する権利があるそうですが、兄弟姉妹や甥姪にはないのだとか。
税理士から「社長の親族や相続人の状況なども見越して遺言書を
書かせたのではないか」と聞かされ、こんなやり方が許されるのかと
激しい憤りを感じました。
「人でなしの兄の一族には一銭も残さない」
この件があって改めて従業員に話を聞き、数年前からその団体の関係者と
思われる人たちが頻繁に叔母を訪ねてきていたことを知りました。
高齢になった叔母は自分が親族から見放されたかわいそうな老人だと
吹聴していたらしく、それを聞きつけた件の団体の関係者が
「大丈夫、私たちがしっかりあなたのことをサポートして事業の方も
面倒見ますから」と付け入ったようです。
古参の従業員が叔母の遺言書の存在を指摘したのは、叔母自身が生前、
その従業員に「人でなしの兄の一族には一銭たりとも財産を残さない。
もう遺言も書いてある」とほのめかしていたからでした。
遺言書の話はあっという間に広がったようです。従業員からは
オーナーが変わることで事業所がどうなるのか不安の声が寄せられました。
父の実家は古くからの居住者が多い地域にあり、近所の人からも
「工場潰してマンションが建ったりしないよね」と言われています。
母はショックで寝込んでしまいましたが、私たちきょうだいとしては、
このまま引き下がるわけにはいきません。今は一緒に戦ってくれる
弁護士を探しているところです。
♾️♾️♾️ おわり ♾️♾️♾️
💦💦💦💦💦💦💦💦💦💦💦💦💦💦💦💦💦💦💦💦