京都で見るとなぜ格別?人ごみを避けて!?

  

  ⛩️ 今熊野観音寺東山区)の参道。青もみじのトンネルをくぐって境内へ

  人ごみを避け「青もみじ」巡りへ、

                          五月病も解消!〈東山編〉

一年で最も華やぐ桜が散り、初夏の花を楽しむ頃は、

新緑まぶしい季節でもあります。爽やかな風を感じながら、

京都の青もみじを訪ね歩いてみましょう。まずは一押しの絶景スポットと

東山の奥座敷を訪れます。

🧿 東山で青もみじとご利益に浸る

 青々と芽吹くもみじの葉。どこで見ても爽やかさは同じなのに、

京都で見ると格別なのはなぜなのでしょう。今の時期の葉色は、まるで

発光でもしているかのような黄緑の蛍光色。陽の光に透ける様は、

神々しさすら感じられます。桜や紅葉に集中しがちなオーバーツーリズムの

観点からも、近年推奨されている「青もみじ」めぐり。人気も

年々高まっています。緑色には、リラックス効果や癒やし効果が期待できると

いわれていますので、五月病から回復するためにも、この時期の京都を

旅するテーマにおすすめしたいところです。

今回は東山を歩きましょう。JR「京都」駅から奈良線で1駅目の

東福寺」駅で降り、大通りの東大路通を北上、泉涌寺道の交差点で右に

折れて坂を上がり、「御寺(みてら)」と呼ばれる泉涌寺の山内へと参りましょう。

総門をくぐると、参道の両脇に生い茂る木々が直射日光をさえぎるため、

気温の高い日でも涼しく感じられます。

 駅から歩き始めて十数分、今熊野観音寺へいざなう立て看板が現れます。

この付近は「歴史的風土特別保存地区」に指定され景観が守られており、

喧騒とは無縁の静けさに包まれています。青もみじに覆われた朱塗りの

鳥居橋を渡り、境内へと向かいましょう。

平安初期に弘法大師空海がこの地に建てた庵が起源となる今熊野観音寺は、

西国三十三所第十五番札所として信仰を集めています。子どもの健やかな

成長、交通安全や学業成就などのご利益を授けてくれるという

子まもり大師像に迎えられて石段を上がると、本堂や大師堂が立つ境内の

中心に。古色蒼然とした諸堂に寄り添う青もみじ。見上げても見下ろしても、

視界を覆い尽くす青もみじが体感できます。

   

  ⛩️ 開創の弘法大師をおまつりする大師堂。手前の立像は「ぼけ封じ観音」

 ご本尊の十一面観世音菩薩は、ぼけ封じや頭痛封じのご利益を

授けてくれる“頭の観音様”。心を込めてお参りした後は、授与所を

のぞいてみましょう。智恵授け、学業成就、ぼけ封じなど頭を守ってくれる

ご祈祷済み「枕宝布(まくらカバー)」や、今熊野の名にちなんだ絵馬ならぬ

「絵熊(えぐま)」や「いまくまもり」など、ユニークなご利益アイテムがそろいます。

   

    ⛩️ 今熊野観音寺の授与品。写真左「絵熊(えぐま)」、

        右上「こぐまもり」、右下「いまくまもり」

🧿 出来立てほやほやの茶所で絶景と抹茶を堪能

   

   ⛩️ 今熊野観音寺茶所「閑坐」で、心ゆくまで青もみじと向き合いたい

 今熊野観音寺の青もみじの様子を見に訪れた4月25日は、境内に造られた

茶所「閑坐」オープンの日でした。閑坐(かんざ)とは、静かに坐し、

心を落ち着かせて己の内面と向き合い、悟りを開こうという意味を持つ

禅語が由来。休憩所だった建物をリノベーションし、参拝者がお抹茶と

お菓子でホッと一服できる憩いの場となりました。

 何度も塗り重ねたという床や、テラスにしつらえた水盤に青もみじが

映り込む、“青もみじのリフレクション”は夢幻の境地。

大切に取っておいたという昨年の紅葉をかたどり、彩色をほどこした

壁面の紅葉アートも素敵です。 青もみじの絶景にまっすぐ向き合う

カウンター席のほか、外のテラスにはベンチもありますので、お好みの席へ。

拝観志納料は2000円ですが、お抹茶と和菓子、十一面観音菩薩様のお札も

付いて、さらにこの景色。日常の慌ただしさから別世界に逃れ、心ゆくまで

浸れるのですから納得です。青もみじはもちろんですが、秋の紅葉狩り

時にも覚えておくとよさそうです。

   

    ⛩️ 茶所「閑坐」の外観。室内から望む青もみじがいかに素晴らしい

🧿 泉涌寺の別院「雲龍院」へ

   

    ⛩️ 雲龍院(東山区)の書院から望む庭園

 今熊野観音寺から再び泉涌寺の参道へ。大門で右に折れてさらに4分ほど

奥へと進むと、泉涌寺派の別格本山雲龍院に。室町時代

1372(応安5)年、北朝第4代後光厳天皇の命により創建されました。

西国薬師霊場第四十番札所でもある東山の奥座敷です。境内には、

サスペンスの女王であり、京都を愛した作家・山村美紗さんのお墓もあるとか。

まずは本堂の龍華殿へ。藤原時代の作と伝わるご本尊・薬師如来と脇侍の

日光菩薩月光菩薩の三尊にご挨拶を済ませたら、赤い毛氈(もうせん)と

青もみじのコントラストが目にも鮮やかな大輪の間へ。庭園の青もみじは、

木の根元近くから枝を広げているため、ボリュームたっぷり。風が吹くと

さざ波が立つように青葉が揺れて、眺めているうちにいつしかウトウトと

無我の境地……そんな心地よい時間が過ごせます。

窓のそばには「瞑想石」なる石も。椅子に座り、両足の土踏まずを石に乗せ、

案内書きに従って呼吸を整えてみてください。歩き疲れて凝り固まった

体がラクになりますので、ぜひお試しを。 同じく書院内の

「蓮華の間」では、「しきしの景色」を楽しみましょう。

雪見障子の四角い窓が、椿、灯篭、カエデ、松の4つの景色を切り取ります。

竹筒に耳を当てて水琴窟の澄んだ音色を聴いたり、本堂の龍華殿で

写経体験にチャレンジしてみたり…。静寂の中で心身共にほぐす時間を

過ごしてください。

🧿 王道の青もみじ名所「東福寺」へ

   

    ⛩️ 東福寺東山区)の臥雲橋は24時間通行OKの無料エリア

 今回の青もみじ散歩はJR奈良線京阪本線東福寺」駅周辺ですので、

駅前の寿司店「いづ松」でランチはいかがでしょう。京名物「鯖寿司」の

発祥として知られる祇園「いづう」の暖簾分けですので、味の良さは

折り紙付きです。 泉涌寺山内の南側には、臨済宗東福寺派

大本山東福寺とその塔頭(たっちゅう)寺院があります。

どちらを先に歩くかはともかく、東山で青もみじを堪能するなら、

いずれも欠かすことはできません。 公家・九条家菩提寺として

鎌倉時代の1236(嘉禎2)年に開かれた東福寺。日下門へ続く参道の途中、

渓谷「洗玉澗(せんぎょくかん)」には3つの橋が架かっています。

おすすめは、折り重なる青もみじの向こうに通天橋を望む絶景スポットの

臥雲橋(がうんきょう)です。

京都の青もみじでナンバーワンとの呼び名も高い通天橋は有料となります。

橋の上からの眺望はもちろんのこと、橋を渡り切った後には

せせらぎの音をBGMに起伏のある渓谷をそぞろ歩きながらの

青もみじ尽くしが楽しめます。もう一つ、一番上流にある重要文化財

偃月橋(えんげつきょう)と東福寺の三橋を渡り比べてみるのも一興です。

通天橋の後には、「永遠のモダン」を追い求めた昭和のカリスマ作庭家

重森三玲による「国指定名勝 東福寺本坊庭園」へ。苔と石を市松模様

仕立てた北庭や、東司(とうす。トイレです)の礎石をリサイクルして

北斗七星に見立てた東庭など、他に類をみない斬新なアイデア

ワクワクさせられる名庭です。 もう一つ、欠かせないお庭があります。

六波羅門から南へ歩いて2分。「虹の苔寺」の異名を持つ東福寺塔頭

光明院も忘れずに。室町時代の1391(明徳2)年創建で、

主庭「波心庭」は、東福寺同様、重森三玲が手がけた枯山水庭園。

大海を表す白砂の上に、3体の仏様に見立てた三尊石、立石を斜線上状に

配しています。シャープな石組みとやわらかな青もみじの対比が印象的。

5月初めにはツツジの鮮やかな色彩も加わります。円窓越しに青もみじを

見られるお部屋もありますので、堂内をくまなく巡ってみてください。

   

    ⛩️ 東福寺塔頭「光明院」(東山区)の波心の庭

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