晩春まで多様な桜を楽しめる都心・・・

  

【特別篇】

 独特の景観美「浜離宮恩賜庭園

   ルーツは将軍家の鷹狩場 現着しました!

  

東京都中央区浜離宮恩賜庭園で、遅咲きの桜が見頃を迎えている。

同園は、高層ビルが集まる一等地に広がる、東京ドーム約5個分の日本庭園だ。

色や花びらの付き方もさまざまな桜が咲いており、気象庁による都心部

ソメイヨシノの満開発表は先月30日でピークは過ぎたが、ここでの花見は

もう少し楽しめそうだ。

「1種類がたくさんあるのではなく、色々な種類の桜があり、3月中旬から

4月下旬頃までゆっくりと見られます」

職員の馬淵史乗(ふみのり)さんは、同園の特徴をこう話す。

早春、盛春、晩春と、それぞれの時期で代わる代わるに見頃を迎え、

来園者の目を楽しませているという。

ユニークな品種も

東京湾の海水を引き入れた「潮入の池」の周りで、桜が咲き競っている。

特に目を引くのは、ヤエベニトラノオ。八重咲きの大輪で、

色は鮮やかなピンク色。アジサイのようなボリューム感があり、

足を止める来園者も多い。長枝の先に花が密集し、虎の尾のように

見えることからこの名がつけられたといい、

漢字では「八重紅虎の尾」と書く。

   

 🧿  4月中旬から見頃を迎えるヤエベニトラノオ

変わり種はウコン。桜色とは趣の違う、淡い黄緑色の花弁をつけるのが特徴だ。

品種名は、ショウガ科のウコンの根で染めた色に似ていることに由来し、

「黄緑色から徐々に白、ピンクへと色を変える」という。

  

  🧿  黄緑色から徐々に色を変えるウコン。

             見頃は4月中旬以降だ

花びらの数が5~7枚とばらつき、一説には、牛車に乗った2人が

一重か八重か言い争って車を引き返したことが語源とされる、

ミクルマガエシという種類も咲く。

2つの鴨場

元々は、江戸幕府3代将軍・家光の息子、松平綱重が拝領した土地で、

甲府藩の下屋敷として使用されたことから「甲府浜屋敷」と呼ばれた。

さらに遡(さかのぼ)れば、徳川将軍家の鷹狩場として整備されたという

経緯がある。 鷹狩りは野山に繰り出して行うことが多かったが、

ここには「鴨場」が築造され、庭でタカを使った猟が楽しめた。

猟には、飼いならされたおとりのアヒルを使う。餌やりの合図である

木の板をたたく音で、池にいるアヒルが細長い水路にやってくると、

野生のカモもつられて誘い込まれる。水路の脇から脅かされて飛び上がったカモを、

タカを放って捕るという方法だ。

    

同園には中央部の「庚申堂(こうしんどう)鴨場」と、南西の端の

「新銭座(しんせんざ)鴨場」の2つがある。鷹匠が水路に入ってくるカモを隠れて

確認するのぞき穴や、合図のための木の板もあり、木づちでたたくと

案外軽くて高い音がした。

高層ビル街に近接

同園は、オフィスやホテルなどの高層ビルに囲まれた土地に広がる

日本庭園で、独特の景観が人気を呼んでいる。好立地で自然に触れられる

こともあり、外国人観光客も多く訪れ、花と一緒に写真を撮る姿が目立つ。

馬淵さんは「日を追って変わってくる品種もあるので、何度か来てもらえると

面白いと思う」と話した。

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【いたわりも 耳が遠くて どなりごえ(シルバー川柳)】