37歳専業主婦が「家事と育児」を放り出して
「2000文字100円の仕事」に没頭したワケ
”フリーランス”って、なんかかっこいい
働き方の多様化が進む昨今、その波は専業主婦の間でも広がりをみせている。
これまで扶養控除枠で働くにはパートタイマーが主流であったが、
現在はフリーランスを選択する専業主婦が増えているという。
その理由は、自分でスケジュールの管理ができることや、自宅で仕事が
できるなど、家族の間で急な頼まれごとをされても臨機応変に
対応できることに魅力を感じているということだが、そこには
思わぬ落とし穴も待ち受けているようだ。
都内在住のリナさん(仮名、38歳)もコロナ禍のなかで、未経験から
フリーライターになった専業主婦のひとりだ。本人はやる気に満ちて活動する一方で、
その働き方に周囲が理解してくれないことに悩んでいるという。
「出産直後の大変な時期がひと段落して、ふと、働きたいなぁと思ったんです。
でもコロナ禍の時期だったので、自分が働きたいと思える求人が
あるのか不安でした。そんな時に見つけたのが”フリーランス”でした。
私としては充実した毎日を送っているのですが、結果しか
見ていない家族や友人からは冷ややかな目で見られているのがすごく辛いです」
キャリアを積むことなく専業主婦となったリナさんは、フリーランスの
なかでも手軽に始められるフリーライターになろうと決意。しかし、
これまでに文章を書いた経験は大学の卒論と趣味で書いていた
ブログのみで、取引先はもちろんライター業としての経験もない。
子どもが小さく外に働きに出るのに心配だったというリナさんが、
フリーランスライターという選択をとったのは、育児と仕事を両立させる
「やむをえずの策」だったのだろうか。
「”フリーランス”になりたかったんです。なんかかっこいいし、
成功すれば夫の収入に頼らずに生きていけることに魅力を感じました。
でも私にはすぐに収入を得られるようなスキルはなくて。なのでまずは
ライティングスキルを磨こうと出会ったのが
クラウドソーシングのサイトだったんです」
リナさんは複数のクラウドソーシングサイトに登録し、
未経験や初心者でも受注できる仕事に片っ端から応募したそうだ。
「芸能人のまとめ情報、商品PR、子連れおでかけ情報など、
私ができそうな仕事には報酬も見ずに応募しました。2000文字の
原稿を1日かけて書いて100円しか報酬が貰えないものでも実績作りに
なると思い頑張りました。ひと月1万円に届かない報酬しか
ありませんでしたが、以前と比べるとライティングスキルは整ったように
思います。そしてその頃から、他のライターさんはどのように案件を
獲得しているんだろうと気になるようになったんです」
200万円未満〜1000万円以上と振れ幅が大きく、1000万円以上稼げる
ライター系フリーランスは全体の約3%と狭き門のようだ。専門性の高い
分野の記事などでは高単価が見込めるものの、すぐに月に数十万円の
報酬をコンスタントに得られるようになれるというワケでもない。
ライティングスキルに自身がついてきたリナさんは、ライター仲間を
探すためにすぐに仕事専用SNSをスタート。仕事の悩みや案件獲得などを
呟くアカウントに積極的に交流しにいったそうだ。その甲斐もあり、
フォロワー数は200人ほどまで増えたという。
「『得意なジャンルだったけど、報酬が3000文字で1000円……』
『クライアント様ー!お仕事くださいっ!』などのつぶやきを見ると、
私だけが大変なんじゃないとホッとするんです。
ライティングの心得などを発信してくれるアカウントは勉強になるし、
時には案件情報も見つけることができるんです。フリーランスとして
働くうえで、SNSは重要だと実感しました」
「パートのほうがマシ」
自分にとって有益な情報はないかと終始SNSにベタ張り状態になって
いったという。リナさんが”フリーランス”の活動に積極的になればなるほど、
その反動は思わぬ形で家族に影響をもたらしていく。
「SNSに熱中しすぎてしまって、食事を作る時間が遅くなったり、
子どもに動画サイトを見せて子守を任せてしまったり。
熱中すると周りが見えなくなるタイプなので注意しなくちゃいけないとは
分かっているのですが、もしかしたら良い条件の案件情報が流れて
きているかもしれないと思うと、何度もSNSを開いては、案件情報を
チェックしたり、コメントしたりしてしまうんです。
毎日何時間でも見続けて、気が付いたらあっという間に夕方、
なんてことはザラにあります」
そんな状態にしびれを切らした夫は、家事や育児よりもSNS優先する
リナさんにこう声を荒げたという。
「『1万円も稼げてないのに、仕事してるような言動は迷惑だ!』
『これならパートに出てもらった方がマシ』と怒鳴られました。
私は一日中仕事に繋がることしかしていないし、収入がないと
フリーランスとして認められないのでしょうか。
私は、仕事を通じて人を笑顔にすることができると思っていますし、
収入に囚われすぎるといい仕事が出来ません。会社員の夫は、
『自分の力で”仕事”を探してくる』ことの苦労を分かっていないんです」
夫と意見が衝突してしまったリナさんは、大学時代の友人にこの件を
相談するも、親身になってくれた友人から距離を取られてしまう事態に
発展する。一体なにがあったのか???
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