150年の歴史を重ねた街家と坪庭・・・

       

            🚠 嵯峨野の庭を堪能した後は、京都の中心部へ。

150年の歴史を重ねた街家と坪庭「大極殿本舗 ・ 栖園」

碁盤の目といわれる京都の街中ですが、そのほぼ真ん中、

六角通高倉通が交差する場所に大きなのれんが目印の大極殿本舗

六角店 「栖園(せいえん)」があります。

坪庭を眺めながら甘いものをいただける、京都ならではの情緒を感じ、

味わうのにぴったりな場所。店主の芝田泰代さんからお菓子の話や、

京暮らしのあれこれを伺いました。 四季折々の大きなのれんが大極殿本舗

「栖園(せいえん)」の目印。私たちが伺った時には、一輪の朝顔

デザインされたモダンなのれんがかかっていました。

こちらは祇園祭から8月15日ごろまでかけられる、

六角通りの風物詩的存在。25年ほど前に作られたものを大切に

使っていらっしゃいます。「暖簾はいろいろ入れたら9種類ぐらい

あると思います。白と黒が定番で、季節ごとに入れるものが7種類ほど。

だいたいは決めておりますが、ま、お遊びですのでね。」

   

   

1885年に山城屋の屋号で開業したのが大極殿本舗の前身。

その構えから和菓子店の印象がありますが、長崎でカステラづくりを学んだ

二代目が1895年に京都でいち早くこの味を広めた、カステラの老舗です。

現在「栖園」として使われているこの建物は1865年(慶応元年)に

建ち上がったもの。改修時には割れたお茶碗や消し炭が出てきたそうです。

「この建物は元治元年(1864年)の蛤門の変でこの辺り一帯が全部燃えて、

年号が改まって(慶応元年)すぐに建てたものです。改修する時に

掘りましたら、京都の地面下は色々ありますねぇ(笑)

でも住んでいる時はわからないし、ある時ふっと気が付くんです。それが私、

歴史かなと思って。一生知らんで済むこともあれば、急に気が付く時もある、

いう感じですね。」150年を超える建物が現存し、当たり前のように今も

使われ続ける、それが京都だと芝田さんはおっしゃいます。

   

大極殿ではカステラは「春庭良(カステーラ)」と呼ばれています。

 包装紙は大正時代の図案を復刻したもの。とても人気があり、この日も

売り切れ。 翌日分を予約してやっと購入することができました。

    

    京の坪庭

「栖園」の奥には町家ならではの坪庭があり、ここを囲むように甘味を

いただけるスペースが。こちらは一木一草(いちぼくいっそう)を元に

種類を抑えて配置された、京都ならではの坪庭です。

「以前は南天が一本だけでしたが、お客様商売をはじめてから種類を

増やしたんです。向こうのは布袋竹(ほていちく)。馬酔木(あせび)、

万両、千両。石の根本にある春蘭は地味な花で、毎年1、2輪しか花が

付かなかったのが、今年は10輪ほど付いたんです。

理由はようわからんのですけど、まぁ楽しんでるんです。

お花のご機嫌ちゅうのかもしれませんね(笑)」

   

     🚠 種類を抑えているからこそ、ひとつひとつの植物の変化に気付く。

華やかさを追い求めるのではなく、家のしつらいのひとつとして、

さりげないけれどじっくりと植物との向き合う。

だからなのでしょうか、京都の草木は華奢な印象に感じがしますと、

芝田さんに尋ねてみました。

「ちょっと抑えてね、何でも抑えた方が家に合いますので。

夏の京都は派手な見ものは無いですけど、紅葉(こうよう)の代わりに

楓の緑色が映えるとかね、それぞれに楽しいけれど、

それでも自分とこの庭に少し(草木が)あるとか、鉢植えに今年も

(花が)咲いた楽しみの方がおっきいですねぇ。」

   

   

「お花もほんと贅沢なもんでね、けど無いとさびしいもんで。

うちはお花の管理ができへんので、お菓子でお花の替わり…(笑)

やっぱりお花はだんだん開いて、枯れてゆくからいいのやと思います。」

芝田さんは記念日があると、花を贈るとおっしゃります。

贈り先の方をイメージして花を選び、

1種類の花でつくった花束がお好みだとか。

「贈りものは食べてしまうもんとか、枯れて無くなるもんの方がいいですね。

また次も贈れますし。やっぱり一年中あるお花よりは、その時あるお花の方が

いいですもんね。」

12か月の琥珀流し

   

     🚠 6月の「琥珀流し」は自家製の梅シロップに煮梅をそえたもの。

「栖園」では「春庭良(カステーラ)」とともに2002年の開店時に誕生した

琥珀流し」が名物。毎月変わる味を楽しみにされている方も多い、

人気の甘味です。「お召し上がりいただいたらわかりますが、このお店が

開店した頃には(他のお店では)寒天の柔らかいのは無かったんです。

寒天といえばところてんとか、あんみつのコリっとした感じで。
他所さんと違う、ちょっと変わった感じで、きれいでおいしいもんを、

と4月の桜の蜜からスタートしましてね。桜やさかい、

5月は使えへんので順番に変えていって1年揃えたんです。
冬場は温かいメニューをと思うてましたんでね、しばらく(琥珀流しを)

しなかったのですけれども、お客様は寒くても気になさらないようなので

12か月全部(違う蜜を)揃えました。

限界まで柔らかくした寒天ですのでね、お抹茶たてるか、これに蜜かけるか、

いうぐらいぎりぎりに作るんです。すぐに召し上がっていただかないと

寒天からどんどん水が出て、水っぽくなってしまいますので。」

固まるか、固まらないかといった極限まで柔らかく作った寒天は

口に入れた途端、するっと溶けるような食べごこちです

   

7月はペパーミント。この時だけは煎茶に代わってサイダーが一緒に

供されます。 12か月のラインナップはこんな様子。1月「白味噌」、

2月「チョコあられ」、3月「甘酒」、4月「桜」、5月「抹茶小豆」、

6月「梅」、7月「ペパーミント」、8月「冷やし飴」、9月「葡萄」、

10月「栗とあずき」、11月「柿」、12月「黒豆」。

   

せっかくだからと、芝田さんが6、7、8月の琥珀流しをご用意くださいました。

見た目の美しさ、涼やかさで私が最も好きなのは7月のペパーミント蜜。

この月だけはお煎茶の代わりにサイダーが付いて特別な雰囲気です。

8月は特に関西で親しまれている冷やしあめの蜜が登場。

「これには麦芽糖の100%のブレンドした冷やしあめをかけてます。

寒天はあっさりしてますけどね、蜜が少しもってりとした感じで。

上に生姜をのせて暑気払いによろしいかと。」

   

最後に大極殿のモダンなお菓子、夏季限定の「レース羹」について伺いました。

「先代が若いころに作ったもんみたいでね、レモンは昭和の初期や

大正時代には庶民にはなじみのなかったもんですから。

レモンの輪切りをレースに見立てて、思いっきりハイカラなつもりで

作ったんやと思うてます。」瑞々しいお菓子をいただきながら、

「はんなり」という言葉がぴったりな芝田泰代さんからお菓子のこと、

坪庭のこと、そして植物への思いを伺い、京都に息づく、

出すぎず抑えた物事との関係性、奥深さを図らずも教えていただいた

ひとときでした。

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【威張ってた 上司地域で 役立たず(シルバー川柳)】