🚉 京都通の隠れ宿。想像を超えるサービスが味わえる
いくつもの名旅館がありますが、何度も京都を訪れているなら、
ひと足延ばしてみてはいかがでしょうか。市街地とは違った、京都を
知り尽くした通人だけが通う宿があります。
知る人ぞ知る京都の奥座敷の名宿
「京都」とは、どこからどこまでだと思いますか?
学生のときに古文の授業で習った「方丈記」では、鴨長明は「京の中、
一條より南、九條より北、京極より西、朱雀より東」と書いています。
北は京都御所のある辺りから南は今の京都駅の少し南あたり、
西はいまの西大路辺り、東は鴨川か、せいぜいそれを渡った八坂神社あたりまでと
いうことでしょう。この中を「洛中」と呼んで、いわゆる「京都人」とは、
この洛中の内側に住む人間だけを指す、という人もいるほどです。
洛中に住む京都人は、最近はあまりその中では遊びません。お寺さんや
神社との密接な生活は身についていますが、食べたり飲んだりは
一見さんお断りの店に通うことも多く、街のどこに行っても
溢れかえっている外国人客や観光客とはあまり触れ合うことがないようです。
「京都の粋」は京都人の間でこっそりひとり占めされているのかもしれません。
🚉 京都の奥座敷、亀岡の湯の花温泉周辺には心が落ち着くところが点在する
最高の食材を提供する「和のオーベルジュ」
🚉 わずか6タイプ13室。すべての部屋がどことなく京都風でゆったり
では、そのような京都人は、どんなところで心を弛めているのでしょうか。
それは、洛中ではなく、その周辺の洛外、さらには小一時間も行った京都の
奥座敷と言われる場所なのです。そんな京都の奥座敷のひとつ、洛中から
「京YUNOHANA RESORT 翠泉(すいせん)」です。
温泉街は決して大きくはなく、伊豆や箱根などの温泉地ほど知名度は
ありませんが、こぢんまりとして余計なものがないからこそ、
知る人ぞ知る場所として、京都に頻繁に訪れる「通」の人たちや京都人が
やってきます。「翠泉」は、わずか13室、小さくて、気配りの行き届いた
宿として人気なのです。「ちょっとごはんを食べに行こか」。そう言って
祇園で遊んでいる京都の旦那衆がタクシーでやってくる、なんていう
使い方もされるそうで、まさしく京都の通人のための宿と言っても
いいでしょう。部屋は全てシモンズ社製のベッドが設えられ、食事は
別室でいただきますので、チェックインした後は宿のスタッフが
出入りすることもありません。アメニティも豊富で、チェックインの時に
可愛らしい浴衣の他に女性向けにも作務衣を選べますし、さらに部屋には
着心地のいいパジャマまで用意されています。部屋の中はもちろん、
ラウンジなど館内の、そこここにコーヒーを始めさまざまな飲み物や
お菓子が用意され、湯上がりには牛乳やアイスキャンディの
サービスまであり、細かいところに気配りを感じます。
🚉 春は京都ならではの筍とわかめの「若竹煮」
「翆泉」は「『和のオーベルジュ』と呼ばれます。オーベルジュとは、
美味しいごはんを食べられるレストランがあり、そこでワインを
楽しんだあとに泊まってゆっくりできる宿屋のこと。翆泉ももちろん
一番の楽しみは食事です。京都・洛中には名だたる京料理の割烹や料亭を
はじめ、フランス料理やイタリア料理、中国料理まであらゆるレストランが
ひしめき合っています。そして、それぞれが「京都」の衣をまとい、
「どことなく京風」な独特の文化を創り上げています。そんな京都の食の
達人たちを唸らせる宿ですから、京風懐石の夕食が
美味しくないわけがありません。
🚉 季節の新鮮な魚を美しく盛り付けたお造り
完全個室の食事処でいただくお料理は、一品ひとしな、熱い料理は温かく、
冷たい料理はきちんと冷やして出されます。それぞれの料理は丁寧に
造られていて、地のものに加え、近在から取り寄せた滋味豊かな食材を
ふんだんに使った贅沢な料理です……とこう書いてしまうと、
この宿の料理のすばらしさはひとつも伝わりません。
例えば若竹煮。京都ならではの筍と、春がはしりのわかめ、そして産卵期を
迎えた鯛の仔を添えた、日本料理では定番の春の料理なのです。
その筍は乙訓(おとくに)の「白子たけのこ」とよばれる白くて
アクが少ない、小さくて柔らかいものを使います。朝堀りの、ほとんど
アク抜きもしなくていいような新鮮で柔らかな筍の先端の部分だけを、
筍の美味しさを逃さないように丁寧に煮(た)きあげます。わかめは春に
なると芽吹くごくごく柔らかいものを。そうした「いましか食べられない
最高の食材」の持ち味を殺さないように火を入れて、淡いおだしを張るのです。
筍の微かに感じるほろ苦さと、新わかめのほのかな海の滋味、そして
木の芽の鮮烈な薫りが口の中に拡がって、春が来たことを実感させてくれます。
和食は、舌だけではなく、五感すべてを使って楽しむもの。四季折々に
合わせた器たちが目の前に出されます。可愛らしい桜の柄の蓋を開けると、
現れたのはお造り。透き通った身は鮮度の証です。
🚉 炭を使ったコンロで焼く地魚のモロコ
「翆泉」の料理は、地の食材を大切にしています。海のない京都は昔から夏は
生命力の強い鱧や清流で獲れる活きた天然の鮎など「名物」と言われる魚が
使われます。例えばモロコという小さな川魚もそんな食材のひとつ。
琵琶湖の固有種であるホンモロコは京都の通人がにやりとする、
知る人ぞ知る小さな魚です。かつては豊富に獲れて、飴炊きなどにされて
食卓に上っていました。誰もが知っているものだけでなく、長い間
親しまれてきた文化まで食事のなかに取り入れることが、ちょっと脚を
延ばしてやってくる理由なのです。
肌にやさしい温泉ときめ細やかなサービス
🚉 貸切露天風呂。のんびりと湯に浸かれる贅沢な時間
温泉も楽しみのひとつ。大浴場は小さな宿らしくちょうど良い広さ。檜の浴槽は
綺麗に磨き上げられ、身を沈めると木の感触がとても心地いいのです。
特にこの世代の方に嬉しいのがシャンプーバー。何種類ものシャンプーが
並んで、香りや自分の髪質にあったものを選ぶことができます。
貸切の露天風呂は四季折々の美しさを堪能できます。周囲の風景に
溶け込んだ岩風呂は解放感も抜群、風に揺れる樹々の音や野鳥のさえずりを
BGMに、ついついのんびりと長湯をしてしまいます。
🚉 眺めのいいお風呂付きの部屋もある
湯の花温泉は戦国時代に刀傷を負った武将がその傷を癒やしたと言われ、
いまでも湯治客が大勢やってきます。弱アルカリ性の低温泉は肌にやさしく、
女性特有の悩みにも効果があると言われます。露天風呂付きの部屋を選べば、
貸切露天とはまた趣の異なる風景を堪能できます。アーユルヴェーダを
取り入れたスパもあり、女性が心ゆくまで楽しめる宿なのです。
小規模なホテルならではの隅々にまで目が行き届いた上質なサービス、
極上の食事や居心地のいい部屋、そして心弛む温泉。観光客で溢れかえった
京都洛中の喧噪から逃れてクルマならほんの40分でこの宿に来ることが
できます。道すがら、嵯峨野に寄り道をしたり、
トロッコ列車に乗ってみるのもいいでしょう。
あなたの知らない、通人が通う京都の奥座敷に訪れてみてはいかがですか?
時間が許せば景色のいいトロッコ列車利用もおすすめ
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