全線開通の三陸鉄道で東北応援旅へ!(後編)
全線開通をした三陸鉄道リアス線に乗り通す旅の後編。青の洞窟、
「あまちゃん」のゆかりの地を巡ります。夏ばっぱのモデルも登場します!
昨夜の宣言通り、早起きをしました。今日はこの辺りで観光をしてから、
久慈に向かいます。宮古から久慈に向かう三陸鉄道リアス線は、1日に
12本。1時間に約1本?と思われるかもしれませんが、例えば
10時44分発・久慈行きの次の便は、13時15分。乗り遅れると大変なのです。
とはいえ、不便さを楽しむのも旅の醍醐味。気持ちの余裕は持って
おきたいところです。
🚠 三陸鉄道リアス線の開業に合わせ今年3月にリニューアルされたばかりの宮古市魚菜市場
宮古駅から歩いて7分ほどの宮古市魚菜市場。朝の市場は活気があって
いいですね。こちらはそんなに大きい市場ではありませんが、魚や野菜、
食堂も2か所あり、朝7時からオープンしています。朝ごはんをここで
食べようと考えていたのですが、海鮮はお昼に食べる予定……迷います。
🚠 牛乳瓶に入った生うにも売られている
岩手の沿岸では、獲れたてのうにを牛乳瓶に詰めて保存するそう。
最近都心でも、この状態で売られているうにを見かけることが多く
なりました。さすがにここで買って帰るわけにいかないので
「このままスプーンですくって食べたらおいしいだろうなあ」と
想像するのみでした。
🚠 宮古駅(左側)の隣に三鉄のお土産ショップ「さんてつや」がある
さて、こちらは現在の三陸鉄道宮古駅。実は3月に新開業するまで、
ここはJR宮古駅でした。元の三陸鉄道宮古駅は、さんてつやの右側の
位置にありました。現在もそこに本社があります。
🚠 駅そばでは珍しい「そうめん」
結局、朝ごはんは駅の改札外にある、駅そばで食べることにしました。
あまり見かけず気になったのが「そうめん」。こちら、そば・うどんと
同じ製麺やさんで作っているそう。年中あるメニューで、温かい
そうめんのみ。「温かいそうめんは、温麺では?」とツイッターに
書きこんだら、「にゅうめんだと思います」と一斉にツッコミがきました。
甘くないさっぱりした出汁のにゅうめんは、胃にやさしく朝食に
ぴったりでした。
ウミネコを頭に乗せて、青の洞窟に向かいます
🚠 浄土ヶ浜マリンハウスのさっぱ船乗り場
駅前のバス乗り場から、「浄土ヶ浜ビジターセンター」に向かいます。
浄土ヶ浜のさっぱ船で、青の洞窟へ行ってみたかったのです。
さっぱ船とは、小型の船のこと。2名〜7名の相乗りで、運転して
もらえるので座っているだけでOK。ヘルメットと救命胴着を着用し、
かっぱえびせんをもらいます。これはおやつに食べるのでしょうか?
🚠 出発した途端、ウミネコたちが近寄ってくる
私と他に女性1人旅の客2人を乗せて、さっぱ船は出発しました。
なぜかウミネコたちとやたらと目が合います。船頭さんが景色の説明を
してくださるのですが、エンジン音とウミネコの鳴き声で、
半分くらい聞こえません。
🚠 (左)決定的瞬間。(右)急に頭が重くなったと思ったら…
どうやらウミネコたちが騒ぐ理由はこれでした。かっぱえびせんは、
ウミネコの餌として渡されていたのです。空に投げると空中でキャッチし、
手に持つと我先にとものすごい速さで奪います。スマホで連写してようやく
撮ることができました。頭に乗るやつは、私がえびせんを取り出すと
同時に取りにくるので油断も隙もありません。
🚠 洞窟は狭いので、1艘ずつ順番に入っていく
ウミネコと戦っていたら、いつの間にか青の洞窟の入り口に着いていました。
陸中海岸の「青の洞窟」と言われる八戸穴。こちらから見る海が
エメラルドグリーンやコバルトブルーで大変きれいだそうですが、
果たしてどんよりしたお天気の日でも、そう見えるのでしょうか。
🚠 洞窟に入って、入り口付近の岩の下を見たところ
見えました!確かにエメラルドグリーンです。
天気の悪い日でも光が差し込んでちゃんと色が出るそうです。
もちろん晴れた日、しかも午前中が一番きれいに見えるとのこと。
ぜひまた晴れた日に、改めて来てみたいです。
🚠 (左)きれいな色の青の洞窟ソフトクリーム(右)頭に乗るのが好き
マリンハウスに戻って、青の洞窟ソフトクリームを食べていたら、
ウミネコとまたもや目が合いました。もうあげません。
ソフトクリームはソーダ味でおいしかったです。
三陸を代表する景勝地「浄土ヶ浜」は、火山岩からできた白い岩と小石で
入り江が作られているので、波があまり来ず穏やか。夏は海水浴客で
大変賑わいます。浄土ヶ浜の地名は、天和年間(1681〜1683)に
宮古山常安寺七世の霊鏡竜湖が、「さながら極楽浄土のごとし」と
感嘆したことから名付けられた、と言われているそう。
🚠 (左)行儀よく並ぶウミネコ(右)入り江の内側は浅瀬が続く
浜辺に座り、波の音を聞いていると、自分がどこにいるのかわからなく
なってきます。確かにちょっと不思議な場所です。
宮古の新名物は、牛乳瓶に詰まった海鮮!?
レストハウスの手前の壁、2階の窓の位置に青いラインがあり、近づいて
みてハッとしました。そこには「2011.3.11 津波浸水ライン」と
書かれています。震災時、津波がなんとあの位置まで来ていたそうです。
目の当たりにして、自然の恐ろしさを実感しました。
🚠 (左)魚彩亭 すみよしの瓶ドン(右)瓶ドンをご飯にかけたところ
バスで駅まで戻り、駅の目の前にある「魚彩亭 すみよし」で宮古の新名物
「瓶ドン」をいただきます。こちらは牛乳瓶に入った海鮮を、
自分でご飯の上にかけて食べるスタイル。現在、宮古市内10店舗で
個性の違う「瓶ドン」が食べられるそう。このように街一体となって
盛り上げているものは、どんどん応援していきたいです。
🚠 ガラスを通して三陸鉄道のさまざまな車両が一望できる
さらに宮古駅には、駅舎のある北口と、反対側の南口をつなぐ自由通路が
できていました。南側には市役所などが入ったイーストピアみやこが
建てられ、景色もすっかり変わりました。通路はガラス張りで、
鉄道ビューなスポット。丸1日でもいられそうです。
🚠 さんてつやで買った三鉄ビールと三鉄おつまみシリーズ
列車に乗り遅れないよう、早めに三鉄に乗って久慈に向かいます。
今日は飲みながら景色を楽しみたいと思います。
🚠 (左)ホームがだいぶ出来ている新駅(右)ひらがなだと人の名前のよう
秘境駅としても知られる一ノ瀬、佐羽根を過ぎ、見逃せないのが田老と
摂待の間に作られている新駅「新田老」駅。年内には開業する予定だそうです。
全国で駅の廃止が相次ぐ中、新しい駅ができるのは実にめでたいこと。
新駅はトンネルを過ぎてすぐ右側と聞き、先頭で、すかさず連写しました。
結局、ほぼ座っていません……。
国民的人気の朝ドラ「あまちゃん」の世界へ
🚠 夏ばっぱが旗を振ったシーンの白井海岸
さて、ここからはあの国民的人気の朝ドラ「あまちゃん」の世界を堪能できます。
ロケ地にもなった田野畑駅舎や、一番の見どころ大橋橋梁。大橋橋梁は
白井海岸と堀内の間です。車窓からは白井海岸と広がる海が見渡せます。
ここは時間帯によって徐行運転、もしくは橋の上で停車してくれるので、
ゆっくり風景写真が撮れますよ。
さらに堀内駅で降りて、1㎞ほど歩いて反対側の堀内大橋という橋から
見下ろすと、この構図の写真が撮れます。私も1度、ここからの写真に
挑戦したのですが、列車が遅れていたのか、まさかの勢いで
通り過ぎられてしまいました。
🚠 堀内駅にあるドラマ設定の駅名表示
あちらこちらの駅に、ドラマで使われていた駅名の表示が掲げられていました。
ロケ地巡りをしたいファンにはうれしいサービスです。
久慈は、何度も訪れたくなる心のふるさと
🚠 久慈駅の久慈さん
「ようこそ〜!」と到着してまず出迎えてくれたのは、久慈駅窓口に
いらっしゃる久慈さん。久慈駅で、駅まわりの実にさまざまな業務を
こなされています。切符を売ったり、観光案内したり、グッズを売ったり、
あまちゃんの格好をして列車に同乗したり……本当に頭が下がる働きぶり。
私が久慈に来るのはたぶん5回目。何度も来るうちに、
すっかり仲良くなり、ごはんをご一緒したりする仲です。
その斜め前には同じく何度も「うに弁当」を買った三陸リアス亭があります。
実はこの写真の左側に見える白黒の印刷物は、
私の漫画「メシ鉄!!!」(集英社刊)の第29話「三陸鉄道&うに弁当」の
プリントです。貼ってくださってありがとうございます!
🚠 夏ばっぱのモデルになった工藤クニエさん
この日も、うに弁当を予約していました。顔を出すと「久しぶりだね〜」と
クニエさんが迎えてくれました。ここ数年、新宿京王百貨店の駅弁大会に
出店されていたのですが、今年はクニエさんの体調が悪く、東京に
来られなかったので心配していたのです。「もうすっかり元気ですよー」と
笑顔でうに弁当を手渡してくれて安心しました。
🚠 喫茶モカのナポリタンスパゲティー(あばずれの食べ物)とたまごサンド
「喫茶モカ」も久慈に来る度に行く場所です。こちらは、あまちゃんの
喫茶リアスのモデルになったお店としても有名。うに弁当は帰りの
新幹線で食べることにして、こちらでいつものナポリタンをいただきました。
太めの麺にケチャップの懐かしい味……それからたまごサンドも
おすすめです。持ち帰りもできますよ。
🚠 喫茶モカのマスターご夫妻
昭和の香り漂う店内は不思議と落ち着きます。壁にはドラマの出演者や
来店した有名人のサインがずらり。朝ドラの主演を務めた、のんさんの描いた
絵も飾られています。こちらでも手が空いたマスターご夫妻としばし会話。
楽しいひとときです。
🚠 道のえきくじ やませ土風館に展示されている山車。9月の第3週が秋まつり
父の仕事の都合で転校続きだった私には、故郷と呼べる場所がありません。
だから何度でも訪れたくなる場所は、心の故郷として勝手に認定しています。
ここ、久慈もそう。鉄道好きになり、あちらこちらに乗りに行って
楽しむようになりましたが、故郷へは、むしろ人に会いに行くと
いう比重が大きいです。
🚠 2日めのルートはこちら!
リアス線がつながったことで、観光客はもちろん、今まで三鉄に乗ったことが
ない地元の方が乗ってくれるようになったそう。知らない場所へ旅するのも
楽しいですが、よく知った場所に何度も訪れるのも、
常に新しい発見がありますよ。
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