骨粗鬆症を予防!
骨の健康度チェックと日常生活の対策
骨がもろくなり、骨折しやすい状態になる「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」。
閉経などによる女性ホルモンの減少で発症しやすく、50代以上の女性の
3人に1人が罹患するといいます。ここでは、発症のメカニズムや
日常生活の中でできる予防策を紹介します。
骨粗鬆症(こつそしょうしょう)とは?メカニズムを解説
骨粗鬆症とはどんな病気なのか、詳しくは知らないという人もいるのでは
ないでしょうか。まずは発症のメカニズムを解説します。
骨の代謝バランスが崩れると骨粗鬆症に
皮膚と同じように、骨も新陳代謝していることをご存じでしょうか。
骨の新陳代謝には、古い骨を破壊する「破骨細胞」と、破壊された部分を
修復する「骨芽細胞」が関わっています。健康で丈夫な骨は、この2つの
細胞によって壊される骨と作られる骨の量のバランスがとれていて、
中身がびっしりと詰まっている骨です。 一方で、壊される骨と作られる骨の
量のバランスが崩れて、破骨細胞が骨を壊すパワーやスピードに、
骨芽細胞が骨を修復するパワーやスピードが追い付かなくなると、
「骨量≒骨密度」が少なくなり、骨の中身はスカスカでもろくなります。
この状態が、骨粗鬆症です。
骨密度とは、骨の強度の70%の要因となり、骨の成分であるミネラルと
タンパク質の「量」のことです。残り30%は骨の成分であるミネラルと
タンパク質の「質」によって骨強度が左右されます。そのため骨密度が
多いほど、骨質が良いほど骨が強く、少なかったり、悪いほど骨が弱く
もろくなります。 女性の骨密度は、女性ホルモンの低下が始まる
45歳前後を境に減少し始め、さらに閉経をへて年齢を重ねるごとに
🔘【骨粗鬆症発症の理由1】女性ホルモンの減少
骨粗鬆症は、男性よりも女性に多い病気です。骨密度は45歳くらいまでは
男女同じ値ですが、加齢によって男女ともに減り、女性は45歳前後から
閉経後3年間くらいの間に女性ホルモンの分泌が急速に低下することで、
骨密度が急激に減少するため、骨粗鬆症の発症リスクが大きくなります。
閉経と同様に、若い年代での女性ホルモン分泌の低下による生理不順や
無月経も骨粗鬆症の発症リスクとなるので、気を付けなくてはいけません。
🔘【骨粗鬆症発症の理由2】運動・食生活などの生活習慣
普段の生活習慣により、骨粗鬆症になるリスクが高まってしまう人もいます。
中でも関わりが深いのは、「運動不足」「欠食や偏った食生活」
「極度のダイエット」「過度な紫外線対策」です。
例えば、運動は、骨の健康を保つのに不可欠です。骨がきちんと
新陳代謝するには、自分の体重で骨に刺激を与える垂直荷重系の運動が
重要だといわれています。
食生活では、骨の健康のカギとなる栄養素であるタンパク質やカルシウム、
ビタミンDの不足を防がなくてはなりません。それらの栄養素は骨の
形成に必要なため、不足していると強い骨が作られなくなります。特に
朝食欠食は、想像以上に決定的な栄養不足に直結します。
あなたの骨の健康度は?チェックリストで確認!
自分や家族の骨の健康状態はどうなのか、気になっている人もいるのでは
ないでしょうか。ここで紹介するチェックリストで確認してみましょう。
骨スカスカ危険度チェックリスト
下記のリストに当てはまる項目があるか、チェックしてみてください。
※『鍛えれば骨は今日から強くなる』
🔘【A】
□身長が若い頃よりも低くなった
□最近、背中や腰が丸くなってきた
□背中や腰が痛む
□ちょっとしたことで骨折した
🔘【B】
□65歳以上である
□閉経後、または生理不順。両側の卵巣摘出手術を受けた
□タバコを吸う
□お酒をよく飲む(ビールなら1日に中瓶2本以上、
ワインならボトル半分以上)
□インスタントやテイクアウトの食品を利用することが多い
□乳製品や小魚、大豆製品をあまり取らない
□体格は小柄で細身、かつ筋肉が少ない
□天気が良くてもあまり外に出ない
□運動する習慣はほとんどない
□家族に「骨粗鬆症」と診断された人や骨折した人がいる
□糖尿病や胃の手術を受けたことがある
<結果>
【A】に1つでもチェックがついた場合は、すでに骨が弱くもろく
なっている可能性があります。健康診断などの方法で骨密度検査を
受けてみることをおすすめします。
【B】に3つ以上チェックがついた場合は、骨の強さを維持できるよう、
ライフスタイルの見直しを行いましょう。
日常生活でできる4つの予防策
骨粗鬆症にならないように健康を維持するには、どのような取り組みを
すればいいのでしょうか。ここでは4つの対策を紹介します。
🔘 1.「ながら運動」で運動不足を解消
普段から運動する習慣がない人が、新たに運動を始めるのは大変だと思います。
運動不足は、日常生活でできる「ながら運動」で解消しましょう。
まずできることは、掃除機掛けや床磨き、風呂掃除などの家事を大きな
動作で行うこと。膝や肘の曲げ伸ばしを意識するだけでも、積み重ねれば
運動量を確保できます。庭いじりが趣味の人は、草むしりや植木の手入れ
などで汗をかくのも良いでしょう。
通勤や買い物で出掛けるときは、エスカレーターやエレベーターを使わずに、
階段を利用する方法もあります。また、孫や小さな子どもと遊んだり、
親を介護したりする中でも体は動かせます。普段からこまめな運動を
意識した生活が、骨の健康を保つことにつながります。
🔘 毎日の家事は大きな動作で!
🔘 2.バランスよく栄養を摂取して、50代以降は極度のメタボ対策を控える
50代以降の食生活は、栄養不足に注意し、栄養をバランスよく十分
取ることが重要です。 40代までは生活習慣病の予防のため、痩せること
こそが健康につながるという誤解からダイエットを意識するメタボ対策の
食生活が中心になっていたのではないでしょうか。その意識のまま、
いくつになってもこの食生活を続けると、新しい骨の形成に必要な栄養素が
不足してしまうかもしれません。
低栄養が骨粗鬆症ばかりでなく、筋肉の低下(サルコペニア)、認知機能の
低下(認知症)、加齢による虚弱(フレイル)の原因にもなり、介護の
リスクにつながることがわかっています。
骨の強さを保つカギとなる栄養素は、「タンパク質」「ビタミンD」「カルシウム」の3つです。食材としては魚、肉、野菜、乳製品などがおすすめです。
次に骨の健康を補助する栄養素はビタミンK、マグネシウム、亜鉛の
『ビタミンとミネラル』と、動植物に広く存在する黄色と赤色の色素である
カロテノイドです。 骨の健康と若さを保ち続けるには、
長年の栄養バランスのとれた食生活の積み重ねが大切になります。
加齢とともに食が細くなりがちですが、いつまでも活動的でいられるように、
しっかりと栄養を取りましょう。
🔘 出典:『骨粗鬆症について知っておきたいこと』
🔘 3.過度な紫外線対策は骨粗鬆症のリスクに!
最近はシミ・シワを防ぐため紫外線を可能な限り避けようとする人が
増えています。日向を避けるのはもちろん、UVカットクリームを顔に
しっかり塗った上で、冬でも日傘をさしたり、つばひろの帽子をかぶったり
するなど、過剰なまでの紫外線対策をしている人が目立ちます。
しかし、徹底的に紫外線を避けることは、骨密度を減少させ、骨粗鬆症
予備群の道へ突き進むことになります。というのは体内のビタミンDの80%は
紫外線によって皮膚で生成されるので、紫外線対策によってカルシウムの
小腸などからの吸収や骨への沈着が妨げられてしまうからです。
食事から取るビタミンDより、紫外線によるビタミンDの方が4倍も多く、
適度に紫外線を浴びることは、骨の健康に欠かせないのです。
過剰な紫外線対策は骨粗鬆症のリスクになることを覚えておきましょう。
🔘 過剰な紫外線対策は骨粗鬆症のリスクに!
【注意!】木陰で15分日光浴でよいか?
ビタミンDはシイタケ・キクラゲでよいか?
よくこのように言われますが、日差しは天候・季節・時間帯・緯度(場所)で
異なり、一律ではありません。したがって、条件によって木陰で15分の
ところもありますし、5分でもよいところから、一日中日光浴をしても
必要なビタミンDができない季節や場所等があります。ですので、木陰で
15分と、すべては一律ではないことをご理解ください。
また、ビタミンDの摂取というと、巷ではすぐシイタケとキクラゲが
いわれますが、鮭一切れと同じビタミンD量を摂取するのにシイタケでは
60個以上、キクラゲでは30枚以上必要になります。一度にこれだけの
量のシイタケやキクラゲを食べることは不可能です。つまり、通常の量の
シイタケやキクラゲではビタミンDは充足できないのです。
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