生きるのが面倒くさい【暮らし】―1


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       女性の「生きるのが面倒くさい」という

56歳、既婚者で子どもはいません。夫は3歳上で、54歳で

早期リタイアしています。世帯収入は、私自身のささやかなアルバイト代が

ほとんどです。40代あたりでは、まだやりたい事などありましたが、

現在は仕事と家事の繰り返しの日々です。

夫の両親は他界しており、私の母は高齢の域ですが、まだとりあえず元気です。

平和で何よりなのですが、何も生きがいも感じることなく過ごす日々が

恐ろしく空虚に思われ、人生が終わってくれないかと思いつつ、

かと言って自殺とまではいかない状態です。

大好きだった音楽さえ心に響かなくなって久しいです。

甘いのは承知しています。しんどいと言っても、私は仕事を続けるしかない。

でも、生きるのが面倒くさいです。

「人生は面倒である」は一つの悟り

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「生きるのが面倒くさい」とのことですが、私も同感です。生きるというのは

まったく面倒です。しかし、「髪の毛を洗うのは面倒だから、今日はやめて

おこう」というレベルと違って、「生きるのは面倒だから、生きるのを

やめてしまおう」とはなりません。

太宰治の短編に『トカトントン』があります。ある読者が作家へ送った

手紙形式で書かれています。この中で、読者が何かをやっていると、

あるとき、突然、トカトントンという金槌で釘を打つ音が聞こえくることが

あると訴えます。その音を聞くと何の気力もなくなってしまうというのです。

「この不思議な現象を起こすあの音は、いったい何でしょう」と

作家に問います。最後は作家からの短い返事が付されます

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20代でこの作品を読んで以来、私にもトカトントンという音が聞こえるように

なりました。おそらく何かの緊張の糸が切れると、トカトントンが聞こえる

気がするだけでしょう。いろいろなことが「面倒だ。もういいや」と

思えてしまうのです。

あなたもつい最近、トカトントンを聞いたのかもしれませんね。

生きるのが面倒。でも、死ぬのも面倒。それでいい

生きるというのは、何かをし続ける状態ですから、面倒といえばとても面倒です。

子どもの頃から「こんなことをして何になる?」という自暴自棄にも似た

疑問が、私たちの心を何度もよぎります。そして、差し当たり

「勉強はいい仕事につくため」「仕事は不自由のない生活をするために、

必要なお金を稼ぐため」など、当面の答えを出して生き続けます。

あなたは今、それら人生の問題を分析した結果、「生きるというのは

面倒である」という、否定しようのない達観に至ったのでしょう。

まったく、生きるのは面倒です。やることがたくさんあるのですから。幸か不幸か、

あなたはまだ「人生が終わってくれないかと思いつつ、

かと言って自殺とまではいかない状態」とのこと。そんなあなたに、

私は面倒をとことん極めてほしいと思います。

「生きるのは面倒だが、かといって死ぬのも面倒だ」とさえ思えるように

なれば“面倒の達人”、“面倒道の免許皆伝”と言えるでしょう。

死ぬのも面倒だから、とりあえず生きていくか……でいいですよ。

トカトントンの力が持続している間は、それでいいと思います。

数年ごとにトカトントン状態になる私の人生観の基本も、あなたと同じ

「人生は面倒である」です。生きることに関して前向きで積極的答えが

出ない(出せない)以上、「生きることは面倒」と認めた上で、

「まあ、面倒だけど……」でいいと思うのです。

それが心穏やかに生きていくコツでもあり、小さいながらも一つの悟りです。

人生丸ごと回り道!何となく終わる人生も理想

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私は60歳を過ぎて、次の言葉を座右の銘の一つにしています。
寄り道、道草、回り道、人生丸ごと、そんなもの
大好きだった音楽に興味がわかない時もあります。生きがいを見つけるのも

面倒に感じることもあります。それもこれも、人生の中で少し寄り道を

している時、道草を食っている時、回り道をしている時だと割りきれば

いいのです。そのうちに、「旦那にヤキモチを焼かせてみようか」とか

「最低3日かかる料理を作ってみようか」など、もろもろのスイッチが

入ったりします。そうこうしているうちに、何となく人生が終わって

いくでしょう。まさに、人生丸ごと回り道です。

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【深夜なる 受話器とる前 深呼吸(シルバー川柳)】