家事に
「捨てる・使い切る」仕組みを組み込もう
物が多過ぎて収納できない、でも捨てられない……。家に物があふれ過ぎて、
片付けられない人でも大丈夫! 不要な物を「捨てる・使い切る」仕組みで
“物の循環”を維持する片付け・収納アイデアを、
生活研究家に教えてもらいました。
いくら片付けても気付いたら元通りに……こうした経験、誰でも一度は
あるのでは? 「その原因は、“物の循環”が悪いこと。人が食べることと
排泄を繰り返しながら生きていくように、家も物を入れたら出すことが
必要です。だから我が家では、物が循環するよう、日々の家事の流れに
『捨てる・使い切る』仕組みをつくっています」と生活研究家は話します。
「私は今73歳。毎日元気に過ごしていますが、60代の頃よりは
何をやるにも時間がかかるようになったし、瞬発力がなくなって、慣れた
台所仕事もスピーディーにできなくなってきました。でも、
70代になった今も快適な暮らしができているのは、物の循環を
維持してきたからだと思います」
衣・食・雑の「循環の仕組み」はこうつくる!
彼女がとりわけ大切にしているのが、「衣(洋服)・食(食べ物)・
雑(紙類・雑多な物)」の循環です。動作が面倒にならず、いい循環を
無理なく維持するには3つのコツがあると彼女は指摘します。
「1つ目は、物の定量を決めること。2つ目は、物の指定席を決めること。
3つ目は、物が出し入れしやすいしまい方で収納すること。これらを
維持できれば、部屋が物であふれることや散らかることはなくなるはずです」
この3つのコツを意識した、彼女流の片付け方法をご紹介します。
衣の循環:着られなくなった服を入れるダンボールを用意
クローゼット前にダンボール箱を常備し、サイズが合わない、劣化した服を
見つけたら箱の中へ。箱が満杯になったら封をして、衣類などを
受け付けている寄付先へ送り出します。
食の循環:食材の置き場は小さく。無駄なく使い切る
乾物や保存食品などの入れ物は「食べ切れる量」しか入らない大きさに。
「ここから絶対にはみ出さない」という強い意志を持って管理。
雑(紙類)の循環:時間軸で管理し、過ぎたら即処分
郵便物は毎日、新聞は3週間、名刺は10年と、紙類は種類ごとに
処分時を管理。捨て時さえ決めておけば、滞らずに循環できます。
まずは「台所」から食の循環をつくる
物が循環する感覚を最もつかみやすいのが台所。「食べ切れる量」を
ベースに、以下の5つのポイントで食材が巡る通り道を整えます。
1・買ってくる→乾麺などの食材のストックは、引き出しに入る量までに限定
2・しまう→惣菜類の容器はすぐに処分。庫内には食べ切れる量だけ入れ、
それ以外は冷凍を
3・作る→作り置き分も含めて多めに調理し、食材は鮮度が高いうちに使い切る
4・食べ切る→残した惣菜は卵とじなど、味を変えて完食。パンは粉にして
鳥のえさに
5・捨てる→生ごみはふた付きごみ箱、パック類は紙袋に入れることで
ごみ出しをラクに
台所で絶えず出入りする食材を、彼女は「食べ切る」ことを軸に
循環させています。 「大切なのは、必要量以上に買い込まないこと。
買い過ぎるから管理し切れなくなり、やがては賞味期限切れで
廃棄することになってしまいます」
冷蔵庫がいっぱいのときは新たな食材や総菜は買わず、家にある物を
食べて循環させ、なくなってから必要な分だけ食材を買います。こうして
食の好循環を保つことで、台所は散らからないのです。
その他にも食の循環を促すために彼女は、鍋を使い切れる数に絞る、
水切りかごではなくマットを敷くなどの工夫をしているそうです。
押し入れの扉は開けっ放しに。不要な物はないか観察を
「片付けの目的は、時間と空間と物を生かす仕組みをつくっていくこと、
それが私の持論です。毎日忙しいと片付けを先送りにしている人も、
少し立ち止まって、自分の暮らしを見直してみてください」と彼女
「物の置き方やしまい方には、その人の思考や感性が表れます。だから
よく身の回りを観察し、不便さや違和感がないかを探します。これで
得た気付きによって暮らしをアップデートすることで、押入れや戸棚の
中がいつの間にか物であふれることも防げます」
物の循環を維持するためには、家の中のどこに何があるか、しっかり
把握している必要があります。
彼女は「気付きの感度を高めるためにも、押し入れの扉は常に半分開けて
おきましょう。奥に何が入っているか観察することは、今の暮らしと
向き合うことと同義です」とアドバイスします。
片付けられない人も「捨てる力」がつく5つの習慣
「そして、簡潔で合理的な暮らしを続けていくためには、『捨てる力』を
身につけることが大切です」と彼女は言います。捨てる力とは、今の自分に
不要な物が何かを判断し、それを手放す決断をする力のこと。
「私には無理……なんて心配はご無用。捨てる力は、練習すれば誰でも
身につき、高めていくことができますよ」
普段は使わないのに「もったいない」と物をため込みがちな人は、以下の
5つを習慣にしてみましょう。
- 今食べたいものをサッと思い浮かべる
- 今日、したいことは10分でもする
- 「今度」という言葉を何度言ったか数える
- 「何かに使える」「どこかで役立つ」を即実行
- 調理の後の片付けを10分以内に終わらせる
これらの行動が無意識にできるようになれば「捨てる力」が身に
ついた証拠。今の自分に必要な物を無理なく厳選でき、探し物に
費やす時間もなくなり、暮らしが快適になっているはずです。
💤💤💤💤💤💤💤💤💤💤💤💤💤💤💤💤