梅雨から夏にかけては、細菌性食中毒が多い時期。
厚生労働省では「食中毒予防の3原則」とともに
「家庭でできる食中毒予防の6つのポイント」を広く呼び掛けています。
食中毒とは、細菌やウイルスが付着した食品や、微生物や化学物質などの
有害な物質が含まれる食品を食べることによって、 嘔吐や下痢、腹痛、
発熱などの症状を引き起こす健康被害のことです。
厚生労働省の統計(食中毒発生状況、速報値)によると、
2019(令和元)年の食中毒は1061件(患者:13018人)報告されています。
2019年(1~12月)に発生した食中毒の発生原因は、約5割がウイルス、
約4割が細菌とのこと。特に、湿度や気温が高い梅雨時期(5月・6月)と
夏(7月・8月・9月)は、細菌性食中毒の発生に注意が必要です。
食中毒予防の3原則!付けない・増やさない・やっつける
細菌性食中毒は、原因菌が食べ物に付着して体内へ侵入することによって
発生します。 食中毒を防ぐためには、細菌を食べ物に「付けない」、
食べ物に付着した細菌を「増やさない」、食べ物や調理器具に付着した細菌を
「やっつける」ことが大切です。
▼食中毒予防の3原則
1.付けない
2.増やさない
3.やっつける
「食中毒予防の3原則」のポイントをそれぞれ見ていきましょう。
1.付けない:手洗いの徹底、加熱の有無で食材を分ける
食中毒の原因となる細菌を食べ物に「付けない」ために、調理前や
生肉・魚・卵などを取り扱う前後には手洗いを徹底しましょう。
また、肉や魚を切ったまな板や包丁から、生のまま食べる野菜などへ
菌が付着しないように、調理器具は使用のたびに水で洗い、こまめに殺菌を。
食品を保管するときも、食材ごとに分けて密封容器に入れる、
ラップをかける、などの対策が大事です。
2.増やさない:冷蔵庫に保存して、早めに食べる
多くの細菌は、10℃以下では増殖がゆっくりになり、-15℃以下では
増殖が停止することが知られています。食べ物に付着した菌を
「増やさない」ために、肉や魚などの生鮮食品や総菜などは、
購入後できるだけ早く冷蔵庫に入れます。また、冷蔵庫の機能を過信せず、
早めに食べることが大事です。
3.やっつける:加熱処理で殺菌を
ほとんどの細菌は加熱によって死滅するため、しっかり加熱して菌を
「やっつける」ことが大切です。特に肉料理は中心までよく加熱
(目安:中心部を75度で1分以上)する必要があります。また、
肉や魚、卵などを使った後は、まな板や包丁などの調理器具を洗剤で
よく洗ってから、熱湯をかけましょう。
家庭でできる食中毒予防の6つのポイント
続いて「食中毒予防の3原則」を元にした「家庭でできる食中毒予防の
6つのポイント」で、具体的に気を付けるべきポイントを
チェックしていきましょう。
・ポイント1:食品の購入
肉・魚・野菜などの生鮮食品は、消費期限を確認してなるべく新鮮な物を
購入しましょう。冷蔵や冷凍などの温度管理の必要な食品は最後に購入して、
寄り道せずにすぐに帰宅を。
・ポイント2:家庭での保存
生鮮食品は、持ち帰ったらすぐに冷蔵庫や冷凍庫に入れましょう。
肉や魚などは、ビニール袋や容器に入れ、冷蔵庫の中の他の食品に
接することがないよう、注意します。
・ポイント3:下準備
冷凍食品を調理台に放置したまま解凍するのは危険です。室温で解凍すると、
細菌が増える場合があるため、解凍は冷蔵庫の中や電子レンジで行います。
料理に使う分だけ解凍し、解凍が終わったらすぐ調理しましょう。
・ポイント4:調理
調理前に再度、台所が汚れていないかをチェックしましょう。タオルや
ふきんは乾いて清潔なものと交換します。調理前には必ず手を洗いましょう。
・ポイント5:食事
清潔に十分気を付けて、器に食事を盛りつけます。加熱調理した食品でも、
室温に長く放置せず、すぐに食べます。食卓に付く前にも手を洗いましょう。
・ポイント6:残った食品
残った食品は早く冷えるように浅い容器に小分けして保存して、食べる前に
75度以上に加熱を。味噌汁やスープなどは、沸騰するまで加熱してから
食べます。ちょっとでも怪しいと思ったら、食べずに捨てましょう。
どの工程でも、食品を扱う前には、必ず手を洗うことが大切です。
誤解がいっぱい!食中毒対策の注意点
こうした注意喚起が行われている一方で、一般的に知られている情報には、
間違いが多いそう。
カレーも放置はダメ!調理後1時間以内に冷蔵庫へ
カレーなどを鍋のまま保管する人もいますが、肉や泥付き野菜に潜む
「ウェルシュ菌」は加熱しても死滅せず、温度が下がりかけた料理は
増殖するのに絶好の場所です。料理を作り置く場合は、鍋から容器に
移して早めに粗熱を取り、1時間以内に冷蔵庫へ入れましょう。
短時間でも危険!スーパーには保冷剤を持っていこう
「生鮮食品とはいえ、ちょっとの時間なら大丈夫」そう思っている人は要注意。
気温が上がる夏場は、スーパーの帰り道など短時間でも注意が必要です。
保冷剤を持参して、帰宅したら早めに冷蔵庫に入れましょう。
肉や魚を最後に購入するのも効果的です。
「スーパーの惣菜だから安心」はNG!要冷蔵&早めに食べて
健康志向の高まりから、最近の総菜は減塩のものが多く、あまり日持ちが
しません。密閉容器に入れて冷蔵庫で保管し、早めに食べましょう。
保存容器に移す場合は賞味期限の確認を忘れずに。
低温でも菌は繁殖する!冷蔵庫の中も掃除・消毒を
細菌の多くは、10度以下では増殖がゆっくりになりますが、
完全に死ぬわけではありません。食品トレーからこぼれた肉汁や魚の
ドリップなど、冷蔵庫に保存中の食品から菌が繁殖することもあります。
菌の温床にならないよう、冷蔵庫の中はときどき掃除しましょう。
アルコールで拭くと効果的です。
野菜や果物は袋入りが安心!なるべく加熱調理を
鮮度が大切な果物や野菜はバラ売りの方が手に取って鮮度を
確認しやすいものですが、多くの人がベタベタと触っているため、
食中毒菌が付いている可能性も……。この時期は、袋売りの方が安全です。
食中毒予防のために、夏場は野菜もできるだけ、加熱して食べましょう。
ペットボトル飲料も菌の温床に!1日で飲み切る
口を付けたペットボトルは、ストローを使っても唾液や口内の細菌が入り、
増殖します。ジュースや甘いスポーツドリンクは特に注意。
コップに移して飲むか、口をつける場合は1日で飲み切りましょう。
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