《勝美ちゃんのお世話-10:お母様の嫉妬》
勝美ちゃんの指示書を見ると18歳の時に精神障害を患いながら支援学校を
卒業したのかは分かりませんが、学校を卒業して数年社会人として働き両親の
猛反対を受けながら、21歳年上のオジサンと結婚して、和子が勝美ちゃんの
お世話に入った頃は、子供は中学生に成り、中学生と言えば、反抗期で
難しい時だったと思います。息子のひろし君も母の事を心配し、お婆ちゃんに
色々語り掛けますが、勝美ちゃんのお母さんも、長女の勝美ちゃんが脳腫瘍を
患い、ヘルパーさんのお世話に成って心身ともにお疲れの様で、孫のひろし君が
語り掛けても「煩い・・・」と振り払い、行き場を失くしたひろし君は和子に
懐き、又半身不随に成って身動きも出来ない身体に成っても勝美ちゃんは
「こんな身体に成ってひろしに申し訳ない」と和子に零すし・・・
和子は勝美ちゃん親子を宥めるしか無く、益々勝美ちゃんのお母さんには
嫉妬されて大変でした
勝美ちゃんは4月の16日がお誕生日でセンター長と2人で盛花をプレゼント
しました。お花屋さんに行って5,000円程の豪華な盛花を当日届けて貰う様に
お願いをして置きました
お花屋さんは約束通り立派な盛花を作って下さってセンター長と
和子の名前を入れて勝美ちゃんのお宅へ・・・
その翌日、センター長から電話が有って・・・
センター長 「勝美ちゃんのお母さんから物凄い剣幕で怒られちゃった~
お母さん 「未だ、勝美は死んでないのにあんな花を送って来て・・・
花屋さんにも『未だ娘は死んでないのに~あんな盛籠の前に
名前入りの短冊を付けないで下さい』と行って来た
センター長はびっくりして勝美ちゃんのお宅に伺うと玄関の下駄箱の上に
綺麗な盛花のお花が飾られ紅白のリボンが掛かり前に和子とセンター長の
名前が、どう見てもお葬式の盛花では無かったそうです。
又お母さんは「和子とセンター長の他に2人ばかりサービスに入って
呉れるのにどうして2人だけなの?」ってもの凄い剣幕だったとか?
センター長も折角の好意を、この様な結果でお叱りを受けようとは思えず
和子とセンター長の名前の入った短冊だけもぎ取って来たと・・・
その後、お母さんは勝美ちゃんの妹さん2人とご主人に
「お母さん迄気が狂ったの?立派なお花なのに~お葬式の花だなんて~」
と言って滾々とお説教をされたとか?
和子はセンター長から全てを聞いて知って居ましたが、次の日も知らぬ振りをしてサービスに・・・でも~その後は何となく勝美ちゃんのお母さんと
アップル事業所としっくりはして無かった様です。其れから暫くはサービスに
入りましたが、有る朝、トイレ介助に伺ったら、玄関の戸を開けたとたんに
「勝美が『嫌だ・・・』と言うから・・・お断りします」と言われ
サービスを中止に・・・
普通は和子が伺う前に事務所の方にお断りの電話を入れて終了に成るのですが
和子は相当嫌われた様・・・其れから半年ほどして亡くなったとか?
享年43歳