思い出ばなし・新屋の兄ちゃん家族―7・・・

 

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         《兄ちゃんは若しかしたらうつ病じゃ無いの?-2》

兄ちゃんは相変わらず、「腹が痛い~腹が痛い・・・」と年中言ってるし~

お医者さんに行っても「何処にも悪い所は無い」と言って余り身体に害の

無いようなお薬を貰って帰りに、以前は姉ちゃん(長女)のお宅に寄って

ストレスを解消して居た様ですが、最近は散々義理のお兄さんの悪口を言って

姉ちゃんの所には行きずらくなって、今度は君ちゃんの家に寄ってストレスを

解消して居た様です。当時君ちゃんの旦那さんは1年程前に前立腺癌で

亡くなり、息子夫婦と2世帯住宅に改造して母屋の方では君ちゃんが・・・

棟続きの隠居の方には息子夫婦が住んでて、君ちゃんも一人で気楽に生活をし

兄ちゃんが行っても気兼ねする事も無く、兄妹で親戚の悪口を言ったり

たずえ姉さんは「最近は家の金を持って親鸞会に行きよる」とか言って散々

悪口を言って・・・気分を晴らして家に帰る・・・

そんな日々を過ごし・・・ある日、隆から電話が有って・・・

隆   「かーこちゃん、あんなぁ~とうちゃんが死なったのよ~」

和子はびっくりして・・・

和子  「うそ~でしょう?何で死んじゃった?」

隆   「夕べなぁ~首吊って死んでらったん・・・」

 

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和子に取って思い掛けない訃報でその時は横浜の自宅に居るから

実感が湧かず、夫に「兄ちゃんが死んじゃったんだって?」と・・・

早速、支度をして夫と田舎に帰りました。

和子達5人兄妹が生まれ育った実家も、兄貴夫婦も亡くなり兄貴の次女が

跡を継いで呉れて居ますが、兄貴が次女に養子縁組をする時に新しく

新居を建てて跡取り娘は新居の方へ・・・只思い出深い実家は廃居と成り

実家の前を通り新屋に行くと兄ちゃんは、座敷で白い布を掛けられて

静かに眠って居ました。

 

和子はたずえ姉さんの所にご挨拶に行くと大粒の涙が溢れだし・・・

言葉に成りませんでした。どの様な事情が有ろうとも、「腹が痛い・・・

腹が痛い・・・」と喚こうが、長年連れ添った夫婦なら、もう少し苦しむ

兄ちゃんが、自ずから死を選ぶまでに何とか出来なかっただろうか?

あの時、未だ若かった頃に肝硬変を患い、団地のお友達のご主人の様に

兄ちゃんも、自ら命を絶つような事だけはしないで欲しいと常に思って

居ましたが、数十年後にこの様な結果に成った事が・・・和子は

辛く、悲しい・・・小さい時から大好きだった兄ちゃん、

何で死んじゃうのよ~~~(涙・・・)

【「こないだ」と 五十年前の 話しする(シルバー川柳)】