東京の本家のお姉さんから「和子さん、其れってケイさんが売っちゃって
お鍋の中に、入っちゃったのと違う?」と言われて「マサカ?」と思ったけど
又、他人様のお財布の中迄は覗いた事が無いから~和子と夫の想像だけの
お話しだけど~たかしさんは、新潟から東京に帰ってからは、今どきの若者じゃ
無いから「ムシャクシャするから・・・」と刃物を振りかざしたり、
「誰でも良かった・・・」と他人様を殺めたりこそ、しなかったと思うけど~
それに等しい状況で、ケイさんも、かなり苦しんだと思うし・・・良く和子に・・・
「九州の実家に帰りたい」と零した事も・・・其れだけに若しかしたら
家計は、火の車だったのかも??? だけど・・・ケイさんは和子に一言も・・・
「生活が大変だから、申し訳無いけど・・・」と詫びる事は有りませんでした。
再度、寸法を取りに来てから・・・2~3度「和子さん、美味しいものを食べに
行こうか?」って誘われた事も有ったけど・・・和子も共稼ぎで働き、
中々お茶することも無く、月日は過ぎて行きました。
たかしさんが亡くなって本家とケイさんの溝も段々と深く成り・・・
和子は何度も・・・「夫の方がお兄さんで、たかしさんが弟なら少しは
アドバイスが出来て、ケイさんの娘も本家の従兄妹や和子の息子たちとも
コミュニケーションが取れて仲良く出来たのでは?」と思う事も・・・
でも~夫は3男坊で「和子さんは生意気・・・」と思われるのも???
そうこうして和子の息子も人並みに成長し、2人共、社会人に成って数年が
経ったある日、ポストの中に市の方から1通の手紙が来て・・・
「お宅は家族4人で収入オーバーで市営住宅を明け渡して下さい」と
言う知らせでした。
仕方なく住み慣れた洋光台の団地を手放し、マンションに移り住んだ時、
ケイさんからコーヒーカップのセットが送られて来ました。
和子は「引っ越し祝い」だと思い込んでお礼の電話を入れた所・・・
其れは「引っ越し祝いではなく・レースの生地がコーヒーカップに・・・(笑)
やっぱり本家のお姉さんの言う様に「素敵なレースの生地は鍋の中に・・・」