和子の父は次男坊で父の両親・和子の祖父母は本家で守られ、和子の上に
兄が一人・姉が二人居て、嬰児の内に亡くなり、仏壇の中には位牌が安置して
有る様でしたが、此れは和子が生まれる前の事で全然、知る由も無く、
父のお葬式が生まれて初めての出来事でした。
父の頃は未だ、昔の風習で、亡くなると故人に取って血縁の深い人は湯灌をして
奇麗に清拭をし白い着物に着替えさせて、未だ当時は火葬じゃ無く土葬だから
座棺でした。清拭が終わると裏口から外に出て自宅より下の河に清めに行きます。
子供と女房に奇麗に清拭をして貰い父は祭壇に・・・
父のお葬式には、他所からも大勢のお坊様がお参りして下さり、座敷は祭壇と
お坊さん(12~3人)で一杯です。
又田舎は親戚一同で、父の本家は他所宿・兄ちゃんの家はお坊さん宿・と言う様に
親戚が分担して宿をします。又自宅からお墓まで1m間隔に忍竹(直径1cm位の竹)の先にローソンを付けて・・・お墓まで行列で・・・埋葬します。
先ずは先頭に次女のお婿さんが、青竹を杖にして進み・次に姉婿さんが裃姿で進み・
その後に故人の孫が長い竹に白い提灯の付いたのを持って・その後12~3人の
お坊さん・その次に梯子に座棺の棺を乗せて長男・次男は、白い着物で腰掻き・
その後甥が添え腰で、進みその後ろを女性陣、その他親族が・・・
その次に孫の提灯・一番後ろに和子の夫が青竹の杖を突いて終わり・・・
村人たちが大勢お見送りに来て下さって・・・ヒソヒソばなしで・・・
村人・A 「あの一番後ろの眼鏡を掛けた人は誰や?」
村人・B 「あの人な~あれはか~ちゃんの婿さんよ~」
村人・A 「え~か~ちゃんって何処へ嫁に行かったん?」
村人・B 「か~ちゃんは東京へ嫁に行かったんよ~」
村人・A 「へ~東京へ行かったん?知らなんだ~やっぱりこの辺の人とは
違ごうて垢抜けしてらるなぁ~」
と言う声が・・・((^▽^笑) )
父はサイダーが大好きで棺の中にサイダーを入れて上げて「今度、母の時に
出て来るかも???って言う声も有ったけど~母の時には、
もう斎場で火葬に成って物々しい・・・お葬式では無かった・・・ ― 合掌 ―