和子のこぼれ話-139 〜会話の出来ない夫婦〜

兄貴は脳梗塞で倒れて間脳を侵され、記憶力も判断力も字を書く事も全て
忘れて廃人同然に成り、そのショックで姉さんも耳が全然聞こえなく成って
夫婦で話すのも「此れ遣って?其れとって?」と言う位な事は出来るかも
知れないけど、大事な夫婦の会話は駄目?家に居ても退屈するから
兄ちゃんの家へ良く行くそうですが、近くに居る人の事は判って色々お話しを
するそうですが、あの人の名前が出て来ないで「あの〜あの〜アイツよ〜〜と
又和子も知らない昔、昔の自分の彼女の名前を思い出したり・・・
姉さんも横浜に和子の長男の結婚式に来た当時から少し認知症
始まった様でした。それでも「兄嫁」と言う立場はしっかり持ってて・・・
有る夜、兄貴から電話が有りました。


和子=もしもし・・・
兄貴=もしもし・・・
和子=アッ、兄ちゃん?元気?
兄貴=うん、ま〜こんなもんよ?・・・あの〜どなたさんや?
和子=あら?嫌だ?私よ〜〜〜?
兄貴=節子か?(兄貴の長女)
和子=違うよ〜かーこよ?
兄貴=あ〜かーこか? アハハハ・・・


電話の傍で姉さんが「かーこちゃんに00日にお爺さんの法事をするから
もんて〜(帰って?)って言うて~な〜?」と言う声が聞こえた
和子=判った〜00日に帰るから姉さんに言っといて?じゃ〜元気でね?
姉さんは耳が聞こえないから兄貴に受話器を持たせてダイヤルを廻すが
兄貴は誰に電話をして居るのか判らない?こんな生活が続いて居ても跡取りの
姪っ子は帰って来ない?