和子のこぼれ話-72〜母の思い出―3〜

兄貴は一度盲腸の手術をした経験は有りますが、タカが盲腸でも一代決心で
3人の娘に遺書を書いて盲腸の手術台に上ったと聞きます。和子は兄姉中の
病気を全部引き受けたの如く、カリエスから腎臓結石・胆石・・・と何度も
手術台に乗りましたが、今母が「胃癌で腹膜を併発して居る」と言われても
母に対して一大事だとは心得て居るけど・・・良く判って無い様でした。


兄貴は「自分が盲腸で死ぬかと思ったのに助けて貰った先生の所へ
相談に行く」と・・・「最終的には母は俺が看取るのだから・・・」と?
和子は「何と言って相談に行くの?お医者さんはお母ちゃんのカルテが
無かったら、幾ら兄貴が信頼した先生でも『じゃ〜この様にしなさい』何て
言える筈が無いでしょう?豊郷病院からカルテを借りて行けば別だけど〜」?
と言っても兄貴は、「どうしても相談したい」と言って聞きませんでした。
兄ちゃんも「兄貴が納得しないんじゃ仕方が無いから結果は無駄でも
行くしかないだろう?」と言うし〜どしゃ降りの雨の中を兄貴と兄ちゃんと
3人で個人の開業医の先生の所へ行ったが、大病の経験の無い2人の兄貴には
開業医の先生に説明すらも???


「胃癌が出来て、腹膜を併発して居る様じゃ先ずは腹膜の処置をしなければ
いけない。これには時間が掛るから、無理だと思うけど、あなた達が母親に
対して後悔の無い様に・・・」としか教えて呉れませんでした。
兄貴は「どうしても癌に成って腹膜を併発して居ると言う事が信じられない」
結局豊郷病院の主治医の先生から「早く決めて下さい」と急かされるけど・・・
「もう少し、待って下さい・もう少し、待って下さい」とお願いして時間を
伸ばして居ました。待合室で兄姉でお弁当を食べながら思案して居ると
姉さんが「お婆さんがウンチをしたら元気に成った〜〜〜」と???