和子のこぼれ話-34〜和子の結婚生活―1

父は「勇次の家を親元変わりに和子を東京へ遣る」と自分に言い聞かせ
和子の結婚を渋々許して呉れたけど、和子は結納を交わせた翌日から
雅ちゃんに散々嫌味を言われたけど、折角父が納得して呉れて此処まで
話しが纏まったのに・・・和子は(東京へ行っても勇ちゃんや雅ちゃん
お世話には絶対に成らない)と自分に言い聞かせ、秋山の元に嫁ぎました。


勿論父の言う様に一握りの土も無い僅か6畳1間に2畳の台所とトイレが
有るだけの小さなアパート。綱島の建売住宅の一軒屋の2階で3世帯の
アパートの真ん中、丁度台所の上でした。両隣りは6畳に3畳と3畳の
台所が有ったが北側は若夫婦と子供さん、南側はお婆ちゃんのお部屋だった。
此処は新興住宅地の建売で道路は砂利を敷いた田舎よりもお粗末な所だった。
勇ちゃんは雅ちゃんから「和ちゃんは浮気女だから、外に出してはいけない。
アパートで内職でもさせて置いた方が???」とアドバイスされて、和子が
嫁ぐ前からブラジャーの内職などを探して居たそうですが、狭いアパートの
2階では内職など、とても〜とても出来る状態じゃ有りませんでした。


又和子も横浜で此れから生活するのに、関西弁では都合が悪い、
早く標準語を・・・と思い、「子供が出来る迄は外で働く」と言って「越野」と言う
時計の石を作る会社へ、就職しました。この会社は2〜30人の程の
小さな会社で女性も数人居ましたが、既婚者は和子だけだった。
でも〜その後次から次へと皆さん結婚されましたが・・・