和子の生い立ち-97〜若しや放火?〜

夫の妹、利子ちゃんから勇ちゃんの自宅の火事を聞き、早速三軒茶屋
昭ちゃんのお宅に電話をしたら・・・
最近、勇ちゃんも不景気の煽りを受けて「テーラー北川」のお店を閉めて
東京の飯野不動産の倉庫の警備員をして居たとか?
警備の仕事で夜勤に出て勇ちゃんは留守、長男の博康も臨海保育で箱根に
一泊の旅行に行き雅ちゃんと未だ赤ん坊の絵里ちゃんの2人だったとか?
蚊取り線香を点けて熟睡して居る間に箪笥の上に有った子供のおもちゃの
ボールが転げ落ちで畳から引火したとか?


早速和子はとしゑさんにお宅までの行き順を聞いて三軒茶屋まで火事見舞いに
行きました。(折角、昭ちゃんにお店を建てて貰い、又勇ちゃんの居ない留守に
家を全焼させちゃって・・・雅ちゃんの今の心境はどんなだろう?昭ちゃんの
家の2階でかなり落ち込んで居るだろう?)と思いながら昭ちゃんのお宅の
玄関を開けると、和子の心配を他所に雅ちゃんは昭ちゃんのお宅の座敷に
置かれた座卓の上座に座り、セッセと火事見舞いのお金の勘定を???
雅ちゃん、今回は大変だったね?」ってご挨拶をすると・・・
「うん、でも〜パパの内緒事が全部バレちゃって清々してるの?」って???
和子はこの言葉に呆れちゃって返す言葉を忘れちゃいました。
又家族会で今後の事を昭ちゃんが話し出し・・・「とにかくあの土地を1日も
早く更地にして駐車場にしてお金を稼がなくっちゃ〜」って言うと
雅ちゃんは「あの土地にアパートを建てます。5年間家賃を不動産屋に
納めれば我が物に成るからアパートを建てます」と???
(当時、東京の世田谷で駐車場は野天で\8,000位が相場だったとか?)
まるで(計画を立てて放火したのか?)と疑いたくなる程、微塵もショックは
見せませんでした。
一段落してとしゑさんと2人で松陰神社の勇ちゃん宅の焼け跡を見に行くと
略全焼でしたが、屋根までは落ちて無く家の中に入ると・・・又々驚き・・・
箪笥の所々ガムテープで目張りをし台所のテーブルの上にはアルミの衣裳缶に
ガムテープの目張り・・・この目張りの個所に雅ちゃんと子供の衣類が?
勇ちゃんの物は全て焼き出されて有りませんでした。
正しく、此れを見たら夫と長男の居ない留守に放火をしたとしか
思えませんでした。聞く所に依ると5月に数千万の火災保険に入り
8月の出来事でした。