和子の生い立ち-87〜勇ちゃん・その1〜

勇ちゃんの紹介で夫との縁談が決まった頃は雅ちゃんに散々邪魔をされて
「和ちゃんは浮気女だから浮気をされると大変だから、毎週和ちゃんの家に
行って監視しなさい」だとか「彼は世間知らずだから新聞を多数取って
勉強させなさい」だとか言われ、勇ちゃんは頻繁に和子の家に来ては
威張って居ました。綱島のアパートに居る時は流石に狭いから夜には
帰りましたが、洋光台の団地に越して来たら絶対に泊らないと帰らない。
初めの頃は、和子の監視だったかも知れませんが、監視所か自分達夫婦の方に
亀裂が入り、家に帰りたくないから・・・風の噂に依ると2階と階下で
別居生活をして居るとか?


「今日は夕方お肉を買って行くから野菜の用意をして置いて下さい。
すき焼きでもしよう?」って電話が来るからお肉抜きのすき焼きの用意をして
待って居ると来ない。夫が帰って来ても〜9時・10時に成っても???
結局来たのは2人の子供が寝静まった夜中、一日働いて帰って来てお腹を
空かせて待って居るのに〜買って来たお肉は豚のバラ肉?
(いい加減にしてよ〜?)って感じ・・又有る時は和子達親子は北側の6畳で
勇ちゃんは南側の4畳半で就寝し、夜中に物音で眼を覚ますと夫が玄関で
勇ちゃんと・・・「じゃ〜又ね?」って?眼を擦りながら「どうしたの?」って
聞くと「北川さん、帰るって?」???何も夜中の2時、3時に帰らなくっても?
其の時は気が付きませんでしたが、若しかして親子で寝て居る光景を見て
帰ったのかな?


段々と年月を重ねて来ると、彼は図々しく成って最初は「和ちゃん」と
呼んでたのに何時の間には「和子」と呼ぶ様に成り「私の夫はどっち?」って
思う程・・・又来ると子供が漫画のテレビを見て居るのに野球に代えて仕舞う?
誠や浩ちゃんも「勇次のオジサンが来ると嫌だよ〜?」って言う様に成る。
雅ちゃんと夫婦仲も良く無く、和子の所へ来れば気持ちが落ち着くのも
判らなくも無いけど・・・来れば親父面をして威張り腐る。
和子は其の時、雅ちゃんとの中に亀裂が入り悩み事が有るのなら・・・
「実は雅子とコレコレ・・・で困って居る」と零せば同情もして上げる。
慰めもして上げる。多少親父面をしても我慢して上げる。でも〜そんな表情は
一欠けらも見せず、又夫に遠慮もせずホトホトと嫌に成った。