和子の生い立ち-55〜初めてのお見合い〜

東京の勇ちゃんからの縁談の話しも耳にしましたが、
和子の憧れの都会でしたが、流石に東京は遠くてお返事に戸惑いました。
有る日、兄ちゃんが「かーこ良い所へ連れて行って遣る」と和子を
車に乗せて佐目の有るお宅へ・・・
「この家は清四郎の家だ、お前は清四郎とお見合いをする気は無いか?」と
「この家は兄姉中で一番良い家だよ〜」と兄ちゃんは縁談を進めました。
清四郎とはたずえさんの弟さん。たずえさんは兄ちゃんと結婚して十数年
和子を取っても可愛がり、大事にして呉れて大好きな義理のお姉さんですが、
そのたずえさんの弟さんとお見合いをしたら断り難いし・・・昔から
みんなが佐目と言う土地は来るのは良いけど行くのは嫌う習性が有ったから
兄ちゃんに進められても絶対に嫌だった
それでも兄ちゃんは「逢うだけで良いから見合いをして見ろ・・・
昔の佐目とは違うから・・・」と必死に進めました。


有る日、君子の家に行って、そんな縁談の話しをしたら・・・
繁行さんが「佐目の清四郎ってたずえさんの弟か?あいつは確か
博打をしよるで、かーこその話しは断った方が良いでよ?」って???
和子は(良い事を聞いた?此れじゃ絶対に縁談は無し・・・)って
大喜びで家に帰って母に話すと母もびっくり???
早速兄ちゃんを家に呼んで話すと・・・兄ちゃんは全然知らずびっくりしてた
それでも兄ちゃんは「わしの眼の黒い内は絶対にさせない」と言ってるし
たずえさんの手前、仕方なく清四郎さんと兄ちゃんの家でお見合いをした。


彼はお見合いの席でも殆ど話しをせず「じゃ〜2人で彦根にでも行って来い」
との事で2人で彦根に行きましたが、彼は「映画を見よう?」と映画館へ・・・
何の映画を見たのか忘れちゃったけど〜とにかく映画館の中では全然話さず
終わって出て来たら「じゃ〜帰ろう?」って?(此れじゃお見合いの意味が無い?)
せめて「コーヒーの一杯位飲んで帰ろうよ〜」って和子が誘い駅前の
茶店へ・・・その席で「実は僕は博打を遣るんだ〜」って本人の口から・・・
その場は「博打と言ってもパチンコ程度でしょう?」って言うと・・・
花札で本格的に・・・」って言ってました。
和子は家に帰って母に・・・「兄ちゃんにもたずえさんにも悪いけど〜
幾ら、兄姉中で一番良い家が有っても博打をする人とは絶対に結婚しない」と言って
きっぱりと断りましたが、たずえさんは嫌な顔も見せず
以前と変わらず可愛がって呉れました。