和子の生い立ち-51〜正木屋へ〜

洋一との結婚を夢見て山中さんのお宅で一年、行儀見習いとして
お世話に成りましたが、本当に行儀見習いに成ったのかしら?
只、嫁・姑の争いを見ただけで、今時この様な皇族家の様な
堅苦しい生活をして居るお宅が何処に有るのでしょう?
もっと個人々がリラックスをして伸び々生活をした方がよっぽども
楽しい人生だろうに・・・と思っただけの行儀見習いでした。


和子は山中様のお宅を辞めて暫くして彦根職業安定所に職探しに行き
彦根の銀座に有る「正木屋」と言う結納兼文房具屋さんにお勤めを
しました。樋田から彦根の銀座まではバスで一時間ほど掛かり
交通費も馬鹿に成らない金額でしたが、半年の定期を買って実家から
通勤、生まれて初めての通勤で車に乗るのが好きだった和子は
毎日が楽しかったです。さて?正木屋さんには何人位、店員さんが
居たかな?和子を入れて3〜4人だったかな?
正木屋さんのご家族はご夫婦と息子さんが2人で2人の息子さんは
異母兄弟とか?昔奥さまは袋町で芸者を遣って居たとか?
風の便りでその様な事を小耳にはさんだ事も?
この奥さまに和子は取っても可愛がって頂いて配達が有ると
「小林さんOOさんのお宅に行ってお出で〜?」って・・・
お盆や暮れに成るとお中元やお歳暮をお得意さんの所へ届けるのは
和子の仕事でした。其れと言うのも奥さんの配慮で・・・
届け物をすると「何時も正木屋さんにはお世話に成ってます」と
先方さんが手土産を持たせます。和子が「OOさんのお宅に行って来ました」
と手土産を奥さんに届けると「其れ持って帰りな?旦那に内緒だよ〜?」って

暮れには「えびす子」と言って彦根の銀座通りは大売り出しをします。
「小林さん、悪いけど暫く泊って手伝って貰えないだろうか?」って
奥さんに頼まれで泊った事も・・・次男の息子さんのお宅で・・・