和子の生い立ち-46〜賽銭どろぼう〜

「立派な菊ですね?一寸見せて下さい」と表玄関を掃いて居たら
一人の男性から声を掛けられて・・・「裏にも小菊が綺麗ですよ〜」と
言い、一瞬、親奥さまにお叱りを受けるかと思ったけど、親奥さまは
快く受け止めて下さって裏庭に連れて行って丹精込めた菊を大盤振る舞いして
小菊を切ってお土産に持たせて帰しました。彼もご丁寧に
「有難うございました」と言って山中家を後に・・・

夜食事の後で親奥さま、若奥様と和子と3人で吊るし柿の皮むきをして居ると
一本の電話が入りました。「警察の者ですが・・・」
3人で顔を見合わせて驚きました。昼間に菊の花を眺めに来た男性は
綿向神社の賽銭を泥棒してバス停前の酒屋さんでお酒を飲み捕まったとか?
親奥さまが挙げた小菊の花束を持って居たから・・・
取り調べをしたいと・・・
親奥さまは「花を愛する人には悪人は居ない」と言いながら小菊を切って
プレゼントされたのに・・・飛んでの無い食わせ物!
和子は改めて(親奥さまに了解を取って良かった〜)って再度胸を
なで下ろす一日でした。