和子の生い立ち-38〜山中家の一日〜

山中さんのお宅には親奥様に若奥様と旦那様のお子さんが3人
長女、千代子ちゃん(小学4年生)次女、美代子ちゃん(小学3年生)
長男、正英君(2歳)と6人家族の極、普通のお宅ですが、何となく堅苦しい
旧家なお宅で、肩の詰まる様な雰囲気のお宅でした。
とにかく親奥さまは朝食事が出来ると三つ指を突いて「お食事が
出来ました」と呼びに行く始末。
若奥様と旦那様は取っても優しい方で「和さん・和さん」と可愛がって
下さいましたが、何せ怖いお婆ちゃんでした。


泊まり込みでお世話に成る和子の女中部屋は玄関入った所の土間の上
2階の6畳2間と言っても6畳のお部屋に裸電球が1つ
屋根裏部屋で窓は小窓が1つ薄暗いお部屋で夜中にネズミが走り廻る
雰囲気の悪いお部屋でした。でも〜この部屋で寛ぐ時間は毛頭なく
只寝るだけ・・・朝は暗い内から起きてご飯とお味噌汁を作って
茶の間と中の間・出の間の3部屋を掃除し、子供を2人学校に出し
若奥様、旦那さま、親奥さまに起きて頂いて朝食を・・・
ご家族の方が食事をされている間に若夫婦のお部屋、親奥さまのお部屋
仏間、奥の中の間とお掃除・・・
お手伝いのオバサンも手伝って下さいますが、オバサンは正英ちゃんの
子守り・・・このお宅には掃除機も洗濯機も有りますが、滅多と
使わせては貰えませんでした。障子に全てハタキを掛けて箒で掃く
当時、NHKの朝の連続テレビ小説は「おはなはん」を・・・
15分番組で掃除をしながら、おはなはんを見て居ると咳払いをしながら〜
障子の桟に誇りが付いて無いか指で擦って歩く?嫌な感じ・・・

オジサンは和子と子供さんたちと一緒に食事を頂き畑仕事!
親奥さまは、朝5時頃から起きて菊作りをオジサンと・・・
裏の畑で親奥さまの怒鳴る声が・・・丹精込めて作って居る菊が
萎れて居るとオジサンに八つ当たりをして朝早くから・・・
一寸軽いオジサンは黙って我慢を・・・
和子も家の中のお仕事が終わると畑仕事、ご家族が全部床に着くまで
和子はお部屋に帰れません。