和子の生い立ち-33〜君子の結婚式〜

職場で怪我をして医務室に入院し、新しく鉄筋の中寮が出来て其れに
隣接して出来た医務室は取っても綺麗で豊郷病院の病室より
綺麗でした。唯和子は労災でお給料を頂いて居るので自由に
お部屋に帰る事は出来ません。当然実家にも帰れません。でも〜
丁度1ヶ月の診断書が出ている間に君子の結婚式が有り和子は
医務室の看護士さんにその旨話し一週間里帰りを許可されて
実家に帰り、君子の花嫁姿を・・・


ちょうど一年前に兄ちゃんも結婚し兄ちゃんの結婚式には和子もお召の
着物を一式新調し、君子と節子(姪っ子)和子と3人でお給仕に・・・
当時は未だ式場で結婚式はせず、自宅で・・・
君子は来年結婚式をするから・・・お嫁に持って行く着物の躾けを
取るのは勿体ないと言って姉ちゃんの着物を借りて・・・
和子は一寸地味なお召の着物を着て・・・
未だ8歳だった節子が盃を・・・和子と君子がお酒を注いで歩く・・・
たずえさんの弟さんに君子と同級生の方が居て
「清四郎に丁度良い年頃の妹さんが居る。どっちがお姉さんでどっちが
妹さんだろう?いや〜こっち・いや〜あっち・・・」って
君子と和子を見て囁かれて居たとか?
その頃、君子は婚約をし来年秋には・・・


兄ちゃんも結婚し、君子の結婚式に帰った和子は母屋の座敷から出の間に
一杯の家財道具を買って貰い家財道具の中に埋もれながら・・・
何か遣ってる君子を見て和子もチョッピリ羨ましかったな〜?
式の当日、朝10時には大きなトラックが来て君子の荷物は運び出され
綺麗な内掛けを身に付けて・・・隠居の奥の間で寝て居た父に・・・
「長い間、お世話に成りました。ご恩は一生忘れません」とご挨拶を・・・
和子は思わず涙が出て止まりませんでした。幼い頃から良く髪の毛を
引っ張り合って喧嘩をした君子が遂に家を出て行く?
もう帰って来ないんだ〜って思ったら・・・胸が込み上げて来て・・・