和子の生い立ち-4 〜姉さんのけちんぼう〜

年老いた和子の両親は「老後は義雄とナツ〜に世話に成るから・・・」と
家計を姉さんに任せ「ナツ〜・ナツ〜」と
和子が小学4年生の春に姉ちゃん(長女)は一ノ瀬にお嫁に行き、
君子(次女・兄や姉が呼び捨てにするから和子も君子・・・と)も
織物工場へ勤め、寮生活を始めて家には両親とあにやん(長男)夫婦
兄ちゃん(次男)と6人家族に・・・
さて〜家計を任された兄嫁は本性のケチで・・・
和子が「学校で上履きに藁草履を買うから10円頂戴?」と言っても素直に
「ハイよ〜」とは出して呉れない。
何度も何度も「姉さん上履き買うから10円頂戴?」と言っても知らん振り?
和子が煩く言うからあにやんが「かーこが『金呉れ』って言うとるでよ〜
早くやれ〜?」って言われて渋々出して呉れる。
こんな日々が中学3年義務教育が終るまで・・・
上履きもそうですが、ノートや鉛筆も〜修学旅行の積み立てすらも・・・
時々、兄ちゃんが居間と隣のお部屋との堺の障子の影で
「此れ持って早く学校へ行け〜」って呉れた事も・・・

和子も段々と小学高学年から中学に上がる前には、悪知恵が働き・・・
だらしない、あにやんの脱ぎ捨てたズボンやシャツを振るって見て・・・
チャリン・チャリン・・・って小銭の音がすると(ありがとさん)と
10円玉や50円玉を調達する事を覚えました。
でも〜折角調達したお金を学用品を買うのには使いたくない。
何年経っても姉さんのケチは直らず、「お金が欲しい」と言えば
兄貴に「遣れ」と言われるまで知らぬ振りは、ず〜〜〜と続く・・・

中学に上がってから和子は、何時も「10円頂戴」と頼み込んで、あにやんや
お母ちゃんが「ナツ〜悪いけんどかーこにお金を遣って呉れんけ〜?」って
再度、頼んで呉れないと貰えない日々に嫌気が射し、和子はあにやんに、
「1ヶ月300円で良いからお金が欲しい。そうすれば姉さんに『欲しい』って
言わなくて済むから・・・」と頼みました。所があにやんから返った言葉は
「あかん、お前に遣ったら無駄使いに使ってしまうからやらん」と・・・