おまわりさん騒動・・・

 働く事の好きな和子は、と言うか幼少の頃から兄嫁のケチのお蔭で、学用品を

買う10円のお金も儘ならない惨めな生活を続けて来た和子は働く事が

苦になる事は無く、偶々00電子の部品挿入の内職を教えて貰い、始めて毎日

時間の許す限り内職をし、偶には子供を外で一緒に遊んでやろうと思い付き

内職のリーダーのお宅に「内職をお休みします」と伝えに行って、一寸話し込んでる内にまこ君は行方不明に・・・(お昼には帰って来るだろう?)と思って

待って居ましたが1時に成っても1時半に成っても、戻って来ない?

 

外で行き交う人に「まこ君知らない?」と聞いても「知らない」と言う言葉しか

戻って来ない?同じ団地のお友達が「警察に届けた方が良いよ~」と言って

警察のお世話に・・・最初は2~3人のおまわりさんが自転車で来て呉れて

まこ君の写真を預けて事情聴取をしておまわりさんは探して下さいましたが、

まこ君は居ない・・・その内に中央道路はやじ馬が大勢集まって・・・

和子は駅前までまこ君を探しに行って駅前の公衆電話からパパの会社に電話をして

先ずは事務の方が出て・・・何時もと変わらず・・・パパを呼びだして貰い・・・

受話器からパパの声で「もしもし・・・」と聞こえたら・・・

和子は込み上げて来た胸の内が爆発したかと思う様に・・・

「誠が居なく成った~~~(涙・・・)」と大粒の涙を出して・・・

パパはビックリして、突然の和子の泣き声にビックリして・・・

「良く分からないから・・・落ち着いて話しなさい」と言われ・・・深呼吸をして

「誠が居なく成った~~~(涙・・・)」と言うと・・・

「じゃ~今から帰るから・・・」と言って呉れて・・・団地に帰って来ると・・・

磯子区の部長刑事まで来て・・・「此処まで探しても見つからないので

捜査本部を設けて徹底捜査をします」と言い電話を貸して下さいと言われ・・・

この大勢のやじ馬の中に新聞記者迄居て、おまわりさんに

「僕の家で電話を使って下さい」と言われたけど・・・和子が

「家の電話を使って下さい」と言っておまわりさんが4人程わが家に・・・

玄関の外で3人程のおまわりさんが話して居るのをお隣りの大学浪人のお兄さんが

「まこ君、此処に居るよ~~~」と・・・この時まこ君は3歳だったかな  

 

【人生は 山谷超えて まだ歩む(シルバー川柳)】